屏風のぞきが行方不明になり、悲嘆にくれる若だんな。もしあの日、別の道を選んでいたら、こんな未来は訪れなかった?上方から来た娘への淡い恋心も、妖たちの化け合戦で盛り上がる豪華なお花見も、雨の日に現れた強くて格好良い謎のおなごの存在も、すべて運命のいたずらが導いたことなのか―。一太郎が迷い込む、ちょっと不思議なもう一つの物語。「しゃばけ」シリーズ第9作。
前作と同様にいつもとちょっと違う世界観を感じる今作。
いきなり4年後のお話になるから驚きました。しかももしもあの時こうしていたら…なんて怖い終わり方をするから一体どういうこと…とドキドキしながら読み進めました^^;ずっとそんな感じで読んでいたような。
若だんなご一行が甥のお祝いを買いに外へ出かけ、2つに道が分かれているところを左に曲がらなければならないところを妖を見つけた若だんなは右へ進んでしまう。ここが、若だんなにとって大きな分岐点となります。
そこから1章ごとに4年後、3年後、2年後…と時が戻っていきます。
4年後の世界は戸惑うことばかりでしたがそこに書かれていたことが少しずつ回収されていきます。
最終的には「起こらなかった未来」の話になるのだけど、この4年間の物語はとても面白かったです。時系列をこのような形で表現される作品はあまり見ない気がします。
結果「起こらなかった未来」になったのだけど、もしかしたらこの中に起こりうる未来もあるのかもしれない。そう思うのも読み終えた後の楽しみの一つだと思います。余韻のような。
これからもこちらのシリーズを読み進めていきます。
<新潮社 2010.7、2012.11>2022.3.12読了