柿ノ実町にある古い図書館。司書のイヌガミさんは今日も大忙し。
ある日図書館にやって来たのは、小学六年生のケンと、かおり。
図書館と学校の図書室が居場所のケンは、クラスのはせがわくんにいじめられていた。
お姫様の物語が大好きだったかおりは、ある出来事で心を凍らせている。
イヌガミさんとうつみさん、スタビンズくんたち図書館の人々と本のあたたかさが、二人の心をじんわりと溶かしていく――
シリーズ第3弾です。またイヌガミさんやうつみさんに会えて嬉しいです。
1冊目でこの図書館の未来にイヌガミさんがいないことは分かっています。だから、今回もスタビンズくんや名前は出ないけどひなとゆんも登場して嬉しかったです。
1冊目でほのかをいじめていたかおりが登場します。詳細は覚えていないですが、かおりが不当にほのかをいじめていたことは覚えていました。でも、かおりもいろんなものを抱えていたんですね…。だからと言っていじめをしていいわけでもないし、本人もそれは分かっているみたいですが。
ケンは頭が良い子でしたね。クラスメートにはいじめられ、先生も我関せずな中、それでも土日に図書館へ行くのを楽しみに毎日頑張って生きている。えらいえらいって頭をなでたくなります。それでも、春原先生に出会えて本当に良かった。図書室の本を全部読んだケンちゃんを褒めてくれて、図書室のお仕事を手伝わせてくれて、ケンちゃん自身をちゃんと見てくれる春原先生。素敵すぎて涙が出そうでした。
それにしてもこのお話のからくりには気づきませんでした…最後まで読んだ後に読み返しました。
読み返すと伏線のようなものがあったのに…悔しい←
あぁ…素敵なお話でした。ケンちゃんとはせがわくんの関係も素敵でした。
そしてケンちゃんが言った「呪いはほとんど、自分で自分にかけちゃうものなんだな、だから、呪いを解くには、自分ががんばるしかないんだ」という言葉が刺さりました。私も自分にかけてる呪いがある気がするなぁって…。
それにしても、この自治体は自動ドアを金がないから年度内に直すのは無理ーって言って次年度に持ち越そうとしてましたけど、ってことは指定管理の民間に丸投げして払わせようとしてたってことなのでは…?どんだけケチなんですかこの自治体←って細かいところでイラっとしました^m^
あとは新年度から指定管理になるから職員がまるっと変わって、優秀な人が来るのに給料が減るんだよ、おかしいよね。ってケンちゃんがさらっと言ってましたけど著者さんと図書館員さんの想いが代弁されているような気がしました。分かる人には分かる案件…。
<河出書房新社 2021.11>2022.3.1読了