らんたん
柚木麻子
小学館
2021-10-27


大正最後の年。かの天璋院篤姫が名付け親だという一色乕児は、渡辺ゆりにプロポーズした。
彼女からの受諾の条件は、シスターフッドの契りを結ぶ河井道と3人で暮らす、という前代未聞のものだったーー。

この作品を読むまで河井道という方を知りませんでした…。
津田梅子さんが津田塾大学を設立したことは知っていましたが、同じように女性で学校を創られた方がいらっしゃったんですね…。って他にもいらっしゃるかもしれませんが…。
明治、大正、昭和を生きた女性。この時代には珍しく英語を学び留学をし、自立した女性でした。
だからこそ、津田梅子さんのように苦労したところもたくさんあると思いますが…それでもバイタリティ溢れる方で常に動いて人に関わって前に進んでいく。その姿が素敵だと思いました。
それにしても出てくる方々が知っている名前ばかりで驚きました。新渡戸稲造、有島武郎、野口英世、津田梅子、大山捨松、平塚らいてう、広岡浅子、村岡花子、柳原白蓮…もっと出てきてます。私が覚えていないだけで^^;マッカーサーともお話したことがあるとか凄いし、ロックフェラーが出てきたときは変な声が出ましたよ…凄い…。
道に限らずたくさんの女性たちが自分の中の「自立」を目指して活動していたんですね。どの思想が良い悪いということではないのだと思いました。男性の庇護を受けるしかなかった女性が自分の足で立って生きていけるよう、たくさんの女性たちがこの時代に尽力したのだということが分かって本当に良かったです。
シスターフッドの関係も素敵でした。あらすじだけを読むと一体どういうことだ?としか覚えなかったのですが^^;乕児さんはとても柔軟で優しい方だったんですね。乕児さんの懐の深さも印象的でした。
終盤は感動して泣きそうになるほどでした。ある人が言った「夢は叶うものですよ。でもそれは今すぐではなく、何十年も先かもしれません。私たちは戦うことと同時に、待つことも大切です」という言葉が私の中で1番心に響きました。この言葉を忘れずに生きていきたいです。戦っていきたいです。
私が大学に通えて自立できるくらい稼いで働けるのは、この時代に必死に生きてきた女性のお陰なのかもしれません。この時代の女性たちに恥じないよう、自分も自分をしっかりと持って生きていきたいと思いました。知ることが出来て本当に良かったです。

<小学館 2021.10>2022.2.16読了