新しい世界で 座間味くんの推理
石持 浅海
光文社
2021-12-21


大学生の玉城聖子が書店で待ち合わせているのは、警視庁の幹部と、座間味くんと呼ばれる中年の会社員の男性。世代も性別もバラバラだが、不可解な話を肴に時折酒を酌み交わす仲だ。若手起業家と空き巣の争い、猫がもたらした複雑な出会い、キャンプ場で一人テントを広げるスーツの女性、そして聖子の胸に淀む罪悪感……。杯が進むほど推理は冴え、予想外の真相が露わになる。本格ミステリの愉楽、呑み語らう悦楽がひしめく短編集!

5年ぶりの座間味くんシリーズ5冊目ですかね?
今回の2人との飲み仲間は大学生の玉城聖子。彼女もハイジャック事件の関係者で1歳の時に人質に取られた張本人。始めのお話ではハイジャックから19年が経過していました。もう「月の扉」に関してはほとんど覚えていないですけど^^;2人からしてみればあの時の子がもう20歳か…と感慨深くもなりますよね。
今回もお酒の席でお話したことが座間味くんの手によって新説が登場するというものでしたけど、今までは警察が絡むような大きな事件がひっくり返される展開でしたが今回はそこまで大きいものではなかったですね。表題作の「新しい世界で」の座間味くんの見解が1番印象的だったかな。女って怖い…って思いました^m^「救出」は聖子の家族に関すること。ずっと罪悪感を持っていた母親に対するわだかまりが無くなって良かったと思いました。
そして最後の「お揃いのカップ」最後の展開にはびっくりしました。びっくりしましたけどなんか他の作品で読んだことがある気がするんだけど(笑)(多分「Rのつく月には気を付けよう」)
それでもこの展開は感慨深すぎますよね。座間味くん、今回は40代半ばから50代くらいになっているのかな。連作短編まではいかないですけど少しずつ時間が経過していて聖子は最後に28歳になっています。今回座間味くんというワードが出てこないなとは思っていたんですよ…やられました。
ハッピーエンドでしたね。あ、違いますね。今はハッピーの真っ只中なんですよね^m^
今回読み終えた後に今まで読んだ座間味くんシリーズの感想を読んでみたのですが、内容はほとんど覚えてなくて(笑)だから「心臓と左手」でしっかり12歳の時の聖子が登場してて驚きました。覚えていればもっと感慨深くなれたのに残念です。しかもその時に従妹が座間味くんに聖子の家庭環境のことをペラペラしゃべって罵倒していたようで私は怒った感想を書いていました^^;全然覚えていない…でも読んだの14年前みたいだから…。
このシリーズはこれでひと段落するのかな。それともまた飲み仲間が変わって続くのでしょうか。動向も気になるところです。

<光文社 2021.12>2022.2.12読了