八月の新月、三毛猫のマスターのもとに、美しい海王星の遣い・サラが訪れた。特別に満月珈琲店を手伝うという。人に夢を与えるサラが動いたことで、気後れして母に会えずにいた沙月、自分の気持ちを蔑ろにしてきた藤子、才能の限界を感じた作家の二季草、彼らの心の扉が開かれる。イラストとともに生まれる書き下ろし小説。

シリーズ第3弾です。
今回は連作短編集のような形でしょうか。冒頭に登場する鮎川沙月の物語なのかと思ったら母親の藤子の物語でしたね。凛とした素敵な女性だと思います。
始めの物語から変化した最後の物語。今回はサラという海王星の遣いが現れたからこそ、そうなったのでしょうか。それでも変に意地を張って誤解が生じたまま、悪い方向へと進んでいってしまうのが切なかったので、良い方向へと変化していったのがとても嬉しかったです。
これからまた新しい生活が始まっていくのだと思うと嬉しく感じました。
藤子の物語を読んでいる途中で目次を見たときに、何となく物語の展開が読めてしまったのがちょっと残念でしたが^^;それでも結末は想像以上で、こういうラストは大歓迎です。
このシリーズを読むと占星術に興味を持ちますね。

<文藝春秋 2021.12>2022.1.28読了