愛と裏切り、交差する運命
名画は現代の私たちに何を語りかけているのか――。
実在した絶世の美女やおとぎ話の姫、殺人現場に立つ妖艶な女性。寵愛を受けた王を退位に追い込む「傾城の美女」や結ばれぬ恋。異様な自己耽溺を見せるナルシス、男性版ファム・ファタール(運命の女)。一枚の絵のなかに切り取られた一瞬には、罪や裏切りをも孕んだドラマチックな生が凝縮されている。
圧倒的な美は善悪を軽々と超え、人々を魅了する。誰もがうらやむ美貌は、時として災いや呪いとなるのかもしれない。有名作品から知られざる一枚まで、時空を超えて輝く男女の美と生き様を40点以上のカラー作品で読み解く。話題作『美貌のひと』の第2弾。
第1弾のそれぞれの美貌のひとの物語も面白かったですが、今回も面白く興味深かったです。
素直に可愛いなと思ったのはヴィジェ=ルブランかな。マリー・アントワネットお気に入りの画家。この方自身も亡命生活などをされて苦労されたんですね。家族ではなく、周りの人たちの人生も影響を受けますよね。
1番印象的だったのはベアトリーチェ・チェンチの絵でした。ぱっと見フェルメールの真珠の耳飾りの少女を思いだすような佇まいなんですよね。でも、表情が全然違う。白いターバンを巻いて白い服を着ていて純白や純潔を意味しているのかと思ったのですが、この方の過酷な運命を知るとその純潔と若さに胸が苦しくなりました。そして読んだ後に絵を見返すとこの画の表情の意味が分かる気がしました。辛い…切ない…。もしも生まれ変われたならその時は幸せな人生を歩めていますようにと思わずにはいられなかったです。この画に全部持って行かれました^^;
美男美女の絵の数々、書籍ではありますがカラーで見れるので眼福でした。
<PHP研究所 2021.8>2021.11.8読了