「誰もが生きやすい世界は、いろんな境界線が混ざり合った世界だと思う」
耳の聴こえない両親から生まれた子供=「CODA」の著者が書く感涙の実録ノンフィクション!        
もしかすると、ぼくは母親の胎内にいたとき、国に“殺されて”いたかもしれない――。
そう考えると、いまこうして原稿を執筆できている状況が、まるで奇跡のように思えた。2018年9月、衝撃的なニュースを目にした。ろう者である兵庫県の夫婦2組が、国を相手取り訴訟を起こしたのだ。
その理由は、旧優生保護法による“強制不妊手術”。旧優生保護法とはいまはなき法律で、その第1条には「不良な子孫の出生を防止する」と記されていたという。
障害があることで、差別を受ける。これは絶対にあってはならないことだ。健常者のなかには、障害者をことさら特別視する人たちがいる。それが悪意のある差別や偏見として表出することもあれば、過剰な親切心という逆説的なカタチで表れてしまうこともある。
けれど、忘れないでほしい。障害者は別世界の人間ではない。ぼくら健常者と同じ世界に生き、同じように笑い、怒り、哀しむ、ぼくらの隣人なのだ。ただし、ぼく自身がそう考えられるようになったのは、大人になってからだった。幼少期の頃のぼくは、障害者、特にろう者のことを嫌っていた。
そう、かつてのぼくは、母のことが大嫌いだったのだ――。(本文より)

CODAという言葉はみんなの手話を見て知ったと思います。耳の聴こえない両親を持つ、耳が聴こえるお子さんのことですよね。
CODAである著者が今までの人生を語った1冊です。
私が手話に興味を持ったのは、健君がファンとの関わりがきっかけで手話を始めたからでした。
2005年の握手会がきっかけで健君が手話の勉強を始めて。数年後に、早瀬夫妻とSPEEDのコンサートに行って、MCの内容を手話でお二人に伝えていたという情報を耳にし、そこまで手話ができるようになったのかと驚いた記憶があります。この出来事は早瀬さんの奥さんがブログで話されていたことで、2010年くらいの出来事でした。
2014年から健君がみんなの手話に出演するようになって、毎年毎週欠かさず見ています。手話はなかなか覚えられないけど、ろう文化は知らなかったことばかりで勉強になります。世界が広がった気がしています。
健君が手話と関わらなければろう者の方のことはあまり知らないままだったと思います。この本も手に取らなかったかもしれません。ろう者の生活の大変さやCODAの生活の大変さを知ることが出来ました。
回り道をしたかもしれないけど、著者さんがご両親と向き合えてちゃんとお話ができるようになって良かった。でも、お父さんの話題がちょっと少なめで可哀そうだなぁなんておもっちゃってごめんなさい。
最後まで読んで表紙の写真が斎藤陽道さんだと知りました!みんなの手話で登場する斎藤さん!この本を読んでいる間、斎藤さんの息子ちゃんたちを思い浮かべていたんです。息子ちゃんたちはCODAだなぁと思って。最後まで読んで改めて表紙を見るとこみあげてくるものがありますね。
著者さんの作品をもっと読んでみたいと思いました。

<幻冬舎 2021.2>2021.8.20読了