平清盛の配下である童子・禿髪は、なぜ惨殺されたのか? 首のない五つの死体から、どうすれば探している人物を特定できるのか? 帝の庇護下にあった寵姫を、どのようにして毒殺したのか? ――不可思議な謎に挑むのは、清盛の異母弟にして一族の裏切り者・平頼盛。平安時代ならではの、前代未聞の新しい謎を描いたと話題を呼んだ、第15回ミステリーズ!新人賞受賞作「屍実盛(かばねさねもり)」など5編を収録。
主人公は平清盛の弟である平頼盛です。
大河ドラマ「平清盛」を見ているので俳優さんでぱっと思い浮かびます。
歴史上は一族の裏切り者ですが、ドラマの中では平家を守るために裏切り、生きる道を選んだことになっています。頼盛が最終回に言った「平家は常に一蓮托生」という言葉が忘れられません。
まあ、ドラマのことはさておき、こちら読了しました。
歴史上の人物が謎解きを行う物語は以前「時省記 平時忠卿検非違帖」という平時忠が主役の本を読んだことがあります。そういえばどちらも平家ですね。面白い^^
ミステリとしても面白かったですが、その謎を解くことで家族を、家臣たちを守るために生き抜いてきた物語という形でも面白かったです。この物語は連作短編集となっていますが、一つ一つ時代が少し異なり少しずつ頼盛も年を重ねていきます。史実を織り交ぜながら展開されていくのでとても面白かったです。
歴史上は頼盛はあまり重要視されず知らない人も多いかもしれません。ですが頼盛がいたからこそ平家は断絶せずに生き延びたのだと思います。
最後の息子たちの言葉が印象的で。父親に対して気になる点はあったものの、父親の考えを受け入れ尊敬していた様子が伺えてなんだかこちらも嬉しく感じました。
最後まで読み終えてからタイトルを見直すと改めてずしっと心に響き、余韻が残りました。
<東京創元社 2021.4>2021.5.16読了