1962年のポーランド。戦争孤児として修道院で育ったアンナは、院長におばの存在を知らされる。おばのヴァンダはアンナがユダヤ人であり、本名はイーダであると告白。イーダは両親の墓を訪れたいと言うが、墓はおろか遺体がどこにあったのかさえもわからない。そこでヴァンダは、イーダの両親が生活していた家を訪れてみようと提案し……。
「映画工房」で板谷さんと斉藤さんが絶賛していた作品。気になったので見てみました。
80分という映画だと短めの作品ですが、内容はとても重厚でした。
戦争孤児で修道院で育ったアンナは自分に叔母がいると知らされ、修道誓願をする前に会ってくるよう言い渡される。叔母に会い、自分の名前はイーダでユダヤ人であることを知らされる。
第二次世界大戦でユダヤ人がどんな目に遭ってきたのか、学校の授業で学んではいましたが、こうして映画としてみることでその迫害のひどさを改めて感じることができた気がします。
この映画はイーダの物語であり、叔母ヴァンダの物語でもありました。
両親はどうして亡くなったのか、どこに埋葬されたのか、2人は真実を知るために4日間の旅に出ます。
そこで知った真実とヴァンダの秘密。そこで2人は別れ、それぞれの生活に戻っていくのかと思っていたら突然の展開に驚きました。前触れもなく起きたから唖然としました…。
修道院の世界しか知らなかった聖女アンナ。
酒浸りで自分をアバズレだという叔母と行動を共にし、その中で出会ったリスとの関わり。
何も知らずに修道女となるのではなく、外の世界を知り、禁忌に触れ、全てを背負った覚悟のようなものを最後のイーダの眼差しから感じました。
終始モノクロの中で展開されていく世界。この物語は色がないのが正解だったと思いました。