本書の第一章では、「なぜ働くのか」という根本的な問題を考え、第二章では、「働かない」「働けない」という事例をもとに、「働くことの意味」をどう見るかについて考察します。続く第三章では、職場での対人関係の問題を取り上げ、風通しがよくなるための具体的な方法を提案します。最後の第四章では、幸せになるためにはどんな働き方をすればいいかについて考えてみます。どの章においても、働くことの意味を職場で働くという狭義ではなく、活動、さらには生きることと同義で考察します。

この方の作品は本当に分かりやすくて読みやすいです。だからかとても心に響きます。
社会人になってから十数年。大体ずーっと苦しくて働くとは、生きるとは、ということはずっと考えてきているような気がします。岸見先生の本を読んでいるとその答えが分かるような気がして、気になる作品があると読んでいます。
著者さんがご自身の体験を踏まえて哲学的な考えを提示してくださっているので、入っていきやすいのだと思います。
「働くために生きて」いるのではなく「生きるために働いている」当たり前の事ですが、純粋に考えて実行に移していくのは難しい事だと思います。それでもあくまで働くということは生きるための手段の1つであってそれが全てではない。なのに、辛くて逃げ出したくても一歩を踏み出せなかったりする。
著者さんが中学生の時に先生に言われた言葉がとても印象的でした。
「儲かる仕事と好きな仕事、どちらかを選ばなければならない場合、どちらを選ぶか」と問いかけ「好きな仕事を選びなさい」と言ったのだそうです。
もしも好きな仕事をしていれば、儲からなくても頑張ることが出来る。儲かる仕事でも嫌いな仕事ならば苦痛で仕方がなくなる。と。
本当に、そうですよね。改めて自分のこれからをじっくりと考えていきたいと思いました。

<ベストセラーズ 2016.7>2020.12.3読了