もしかして ひょっとして
大崎梢
光文社
2020-10-21


心配性でお人好し。損得を考えずに動いて、余計なトラブルに巻き込まれて、貧乏くじを引きっぱなし。それでも、危機に陥ったあの人を救わなきゃ。誤解も悪意も呑み込んで、奇妙な謎を解き明かすんだ! にぎやかでアイディアに満ちた、6つの短編ミステリー。

いままでに書かれた短編集をまとめた作品集。
結構昔の作品もあったみたいですね。
「小暑」いやー見事に騙されましたよね。てっきり新米ママが主人公だと思っていました。先入観って恐ろしいです。電車で隣同士になったおばあさんの昔話、私ももっと聞きたいと思いました。お兄さんも姪御さんもそのお母さんもそれぞれ幸せに暮らしていたらいいな。
「体育館フォーメーション」男子バスケ部が仲間割れを起こしているらしく毎日怒号が飛んでいる。どうにかしてくれと生徒会に次々と他のスポーツ部の生徒がやってくる。最初は生徒会がどうしようもできないのでは…?と思いましたけど、結末には納得でした。
「都忘れの理由」この作品が特に好きでした。妻に先立たれた夫。15年働いてくれている家政婦が突然辞めると言って来なくなった。その理由を考えます。お互いに信頼関係が出来ていると思っていても、直接言葉を交わさないと分からないこともたくさんあるんだなと改めて感じさせられました。
「灰色のエイミー」まさか結末がこんな深刻な問題だとは思いませんでした…。びっくり。でも大事に至らなくて良かった。それにしても会社が簡単に個人情報を言ってしまうのはめちゃくちゃ問題だなと違うところで憤りを感じてました^^;
「かもしれない」こちらはアミの会(仮)の「惑」に収録されている作品だったので唯一既読でした。かつて仕事で大きなミスをして左遷された同僚。そのミスが実は彼のミスではなかったのだとしたら?そう思って行動に移した主人公はかっこいいなと思いました。ラストも好きです。
「山分けの夜」こちらは書下ろしだそうです。冒頭からビックリ。大崎さんこんな作品を書かれる方だったっけ?って戸惑うほどでした(笑)その出来事についてもドキドキしましたが、色々なまさかの展開にひたすらビックリ。やられました。主人公にとってはまあ良かったのでは…。なんて言ったらダメかな?^^;

<光文社 2020.10>2020.11.30読了