なつかしのオムライス、うすいえんどうの豆ごはん、ロールキャベツ、アジフライ―。佃はじめ食堂の常連客でお酒も卸している辰浪康平は四十歳すぎで気楽な独身。両親が息子の将来を心配して、代理婚活の会に入会した。子供の代わりに親同士が見合いして結婚相手を探すという。康平は三十三歳の女性とつき合い始めたが…。幸福な出逢いとかけがえのない思い出。はじめ食堂に集う人々の人生模様と、季節の美味しくて庶民的なご飯を描く、大人気シリーズ。(巻末に著者のレシピ付き)

こちらのシリーズは現代と同じ時系列で物語が進んでいるので今のこの状況下をどう書くのだろうと気になっていました。この物語の世界でも新型コロナウィルスは蔓延し、はじめ食堂もお休みしていたみたいですね。
でも、自粛期間を終えたらこの世界では新型コロナウィルスは収まっていて、みんなで旅行に行ったりしていました。この物語の中くらいはそういう世界があってもいいと思いました。物語の中まで暗くなっていたら寂しいですし。
ただ、婚活食堂って言うシリーズもあるのにこちらでも婚活話があってちょっと辟易してしまいました。まあ、私が勝手にそう思っているだけなんですけど。でも康平の両親も切実なのは分かるけど早くくっつけるのに協力してくれとか、あの女性ならまだ子供が生めるとかなんか嫌だったなー…
最後には先生と雰囲気がとても良い感じで、良かったんですけど…ちょっともやもやしました。
そして最後は悲しい別れがありましたね。
でも一子さんの言葉が凄く印象的でした。家族は遠くに住んでいたけど、たくさんの友人がいて、はじめ食堂があって、きっととても幸せな人生だったと思います。
私もオムライスが食べたくなりました。

<角川春樹事務所 2020.7>2020.9.9読了