ハンナのいない10月は
相川英輔
河出書房新社
2020-05-26


オススメ!
狙われた大学公印、学生自治会長選挙の不正疑惑、大学御用達の定食屋の後継者問題、女子生徒の洋服盗難、学生への不公平な単位付与―森川とハンナが辿り着いた、事件の裏にある切なくて苦い真実の数々とは?優しい涙が溢れる傑作!

初読み作家さんです。タイトルが気になって読んでみました。
人が死なないミステリ。こういうミステリが好きです。
昇進などの野心がない、講師の森川と捨て猫だったハンナ。ふたりのいる研究室に在学している佐藤大地と三田村栞が入り浸り、ミステリ話に花を咲かせる。素敵な空間だなと思いました。
大地は就職の内定をもらえたため、先生に単位を取得できるよう頼みこみに行きます。でも、規則は規則だからと受け入れない森川先生。そこで森川先生は研究室にある2000冊の本の中から1番好きな本を選ぶことが出来たら単位を認めることを約束します。そこで出会った三田村栞と2人で調べて行くのですが、この2人が何だかとても可愛らしい。最初の大地の行動は褒められるものではないですけど、その後にちゃんと授業を受けているしレポートもしっかり勉強して提出したりしていますからねー。変な人だなと思いましたけど←森川先生は見ているところは見ているんですよね。
あらすじにもある通り、大学内で様々な問題が浮上します。更に大学関係者にスパイがいるとも言われ、不穏な空気になっていきます。それでも、みんながお互いを思い合っていて何とかしようと動いていて、それが素敵だなと思いました。どんなに卑劣なことをして利益を得ようとしていても、悪は滅びるのだ←
面白かったです。他の作品も読んでみたいです。

<河出書房新社 2020.5>2020.8.20読了