不当な理由で職場を解雇され、その腹いせに罪を犯し逮捕されてしまった玲斗。 同情を買おうと取調官に訴えるが、その甲斐もなく送検、起訴を待つ身となってしまった。そこへ突然弁護士が現れ,依頼人の命令を聞くなら釈放してくれるという。 依頼人に心当たりはないが、玲斗は従うことに。 依頼人は千舟と名乗る年配の女性で、驚くことに伯母でもあるというのだ。あまり褒められた生き方をせず、将来の展望もないと言う玲斗に彼女が命令をする。「あなたにしてもらいたいこと。それはクスノキの番人です」と。
『秘密』『時生』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』に次ぐっていう謳い文句の意味が読み終えて分かりました。
確かにその3作品に通じるものがありますよね。
玲斗の境遇は同情の余地があると思います。でもそれを言い訳にしてはいけないという千舟の言うことも分かります。
愛人の子供として生まれて貧乏な生活を送って母親が小学生の時に亡くなって。そういう境遇だからか人生に悲観しているわけではないけど淡々と将来はただくいっぱぐれずに生きていればいいみたいに言っている玲斗に対しては読んでいて切なかったです。
それでも千舟に出会って、クスノキの番人を任されて、みるみる人として成長していくのが分かって読んでいて面白かったし、何だか嬉しかったです。
言葉遣い、箸の持ち方、仕草、大人になったら注意されなくなることを千舟が母親のように厳しく言う姿が良かったです。玲斗もちゃんとそれを受け入れてるのが良かった。
クスノキの番人の役割、祈念の意味、凄いですね。もう語彙力無くなりますよ。ただただ凄い(笑)
そして千舟に関しても何かあるだろうと思いましたが、それも最後にちゃんとわかりました。
最後、玲斗が大人になり過ぎじゃないかと思いましたけど^m^
伯母と甥としてこれからも共に仲良く←生きていってほしいなと思いました。
面白かった!
<実業之日本社 2020.3>2020.7.7読了
東野さんのこの路線はすごく好きです。
私も玲斗が良い人になりすぎ?ってちょっと思ってしまいました。最初はチンピラみたいだったのに笑
千舟さんとの関係はとてもいいなぁと思いました。