オススメ!
逆境にもめげず簡単ではない現実に立ち向かい非日常的な出来事に巻き込まれながらもアンハッピーな展開を乗り越え僕たちは逆転する!無上の短編5編(書き下ろし3編)を収録。
伊坂さん、デビュー20周年なんですね。おめでとうございます。
今回の主人公は小学生。5編からなる短編集でしたが逆転劇なので最初の状況が読んでいて辛いこともありました^^;私の小学生時代はそこまでいじめと呼ばれるものはなかったんじゃないかなぁ。私が気づいていないだけかもしれないけど。あんまり覚えていないということは特に大きなことは何もなかったってことなんでしょうね←
「逆ソクラテス」の「無知の知」以前テレビで知って覚えていたので懐かしかったです。先生だからって全て分かっているわけではない。大事なのは自分が無知であるということを知っていること。これは私も常に頭の片隅に置いておきたいと思っています。勉強も運動もダメで先生すら小ばかにしている子がプロ野球選手になるなんて夢がありすぎて素敵です。
「スロウではない」「いじめ」が原因で転校してきたと噂が立っていたらいじめられていたからだろうって思いますよね。予想外でした。磯憲の教師らしからぬ言葉の数々はなるほどと思うことも多かったです。いじめの加害者が幸せに暮らしてほしいとは私も思えない。でもそれに気づいて一生懸命だった子に対しては、そこまで悪くは言いたくないとは思います。
「非オプティマス」親が偉いから自分も偉いと勘違いする騎士人みたいな子っているんでしょうねー。それは親の育て方もあるんでしょうけど。福生君のように同じ服を毎日来ているから貧乏だという決めつけは外見だけでは決して分からないですよね。福生の母親は少ししか登場していないですけど品格がある素敵な女性であるということが分かります。最後の騎士人の反応が痛快でしたね←福生はなんて答えたんだろうな。
「アンスポーツマンライク」このお話が1番好きだったかなー。ミニバスをやっていた5人の小学生の話。その5人が高校生になった時の話。更にその6年後の話。どれも面白かったです。こちらにも磯憲が登場しましたけど「バスケの世界では、残り1分を何というか知ってるか」「永遠だ」がかっこよすぎました。5人の連携プレーが何年経っても健在だったのに鳥肌が立ちました。
「逆ワシントン」同級生の靖君が義父に虐待を受けて言うのではないかと心配した同級生たちがそれを確かめるためにした行動が可愛らしかったですね。でもその心配は杞憂で素敵なお義父さんでした。若くなくても血が繋がっていても虐待する人はするし、謙介に対して土下座しろとか言ってきたような正義感をはき違える変な大人もいるんですよねー。変にトラウマになっていないと良いけど。最後の家電量販店の店員さん。きっとあの人ですよね。どこのお話か忘れたけど、加害者は悪い事をしたから悪い奴と決めつけるのではなく、そこに至るまでの経緯で何かあったのかもしれないと考えることも大事だ。みたいなことを話しているところがあって。店員さんは多分罪を犯した人なのだけど元来は真面目な人で、だからこそ一生懸命に生きようとしている。その姿は応援したくなりました。だって試合を見て泣くとか知り合いかと言われたら全否定するとか、良い人じゃないとそんなことできないですからね!←
1分が永遠なら今この時間だって永遠。良い言葉をもらえたなと思いました。私も元気をもらいました。私も思ったら言ってみよう。「私は、そうは思わない。」って^m^
やっぱり伊坂さんの作品は良いなー!!大好きです!面白かったー!!!
<集英社 2020.4>2020.6.14読了
家電量販店の店員さんのシーンはぐっときましたね〜ちょっぴり甘すぎる気もするけど、伊坂さんらしくて夢があって素敵でした。