図書館の変革 (前川恒雄著作集)
恒雄, 前川
出版ニュース社
1999-04-30


1960年代にはじまった日本の公共図書館の改革と発展は、そのスケールの大きさと内容の深さにおいて、歴史的な時代を刻んでいる。本書はこの時期に図書館員として働き、この改革に深くかかわった著者が、学び、実行し、考え理論化し、一段高い地点で再び実行する過程をくりかえしたものである。それは常に実践から生まれ、ときに論争であり、たびたび説得であったという。

著作集3冊目です。
1960年代は図書館を地域の一般市民に利用してもらうため敷居を低く、利用者ファーストにすることを大事にし始めた頃なのかなと思います。以前の著作集の感想で書きましたが、ずっと昔は図書館側が上から目線だったみたいですし、年齢制限などもあったみたいですし。
前川さんは一貫して図書館には様々なサービスがあるが1番大事なのは貸出だとおっしゃっています。
私はずっとレファレンスだと思っていました。それも大事だとは思いますが、利用者が気軽に入れて、読みたい本を気軽に借りられる、そんな場所にすることが第一なのだと読んでいて感じました。
特に問題視されていたのは図書費の予算の問題、そして司書職制度についてでした。
この2つの問題は40年以上経った今も変わっていない、むしろ悪化しているのではないかと思います。時代は変わりましたが、それでも図書館として最も大切なのは利用者であることは変わらないです。
この本に書かれていたことで1番驚いたのは、イギリスの図書館の考え方です。日本では利用者が求める内容の本が図書館に所蔵しているかどうか調べます。自館にあるのか、なければ他館に相互貸借を依頼する。その流れですがイギリスはそもそも利用者が求めるような書籍が存在するのかどうかから調べ始めるのだと言います。そして図書館にあるかどうかを調べるのだそうです。なるほど!と思いました。
著作集は残り1冊です。前川さんの熱い想いをじっくりと読んでいきたいと思います。

<出版ニュース社 1999.4>2020.5.19読了