図書館の世界 (前川恒雄著作集)
前川 恒雄
出版ニュース社
1999-04-30


1960年代に大きな変化を遂げた日本の公共図書館。その時期に図書館員として働き、改革に関わった著者が、経験に基づき、図書館のサービス、図書館のこれから、社会と図書館、図書館の発展などについて考察する。

前川先生が講演された3つの公演をまとめたものだそうです。著作集としては2冊目です。
図書館員の現状をズバズバと切り込まれてます。現状と言っても30年くらい前なのですが今とあまり変わっていない気がします。むしろ指定管理者制度が出来てからは悪化していますよね。
30年前にも委託の問題があったようで前川先生が強く批判されていました。でも、今の方が図書館司書として働きにくい現状になっている。それが悲しいなぁと思います。
図書館は利用者目線に立たなければならない。肩書きなどは関係なく誰もがカウンターに立って利用者と関わるべき。利用者からリクエストされた本は極力購入するようにする。
小さな町に図書館が出来たことで書店が出来たというお話が素敵でした。本を読む人が増えて図書館利用者が増えて本の購入額も増えるなんて本当に理想です。
前川先生がよくお話される、日野市で図書館を利用していた家族が引っ越し、久しぶりに日野に来たときに図書館に立ち寄ったら職員さんがお子さんの名前を憶えていたという話がとても好きです。職員と利用者の身近な関係が魅力的です。
こちらの本を読んでいて、前川先生の熱い想いを間近で聴いているような気持ちになり、身が引き締まる思いでした。私も頑張らなくては。

<出版ニュース社 1999.4>2020.5.16読了