司書のもつべき質は二つある。一つは、正しい図書館運営に生かすべき理論と技能であるが、それ以上に今求められるのは、利よりも義に向かう、ゆるがぬ志であろう。司書は誰でもできるとか、役に立たないとか言うのは、誰にでもできる仕事と、あるいは図書館の職員が本来する必要がない仕事、そういうものを図書館の仕事だと考えていて、役に立たないとか、誰でもできるという人がいます。そういう人に対しては、はっきり言ってやるべきだと思うのです。「あなたが考えているのは図書館ではない」と。
1990年代に前川さんが講演されたものをまとめた書籍だそうです。全部で4冊あり、こちらが1冊目。
前川さんの熱いメッセージが込められています。もう凄いです。日野市図書館での活動のお話は本当に凄いです。新しいことを始める人は矢面に立たされるものだけど、それを覚悟して公共図書館の発展のために尽力していた姿は熱い想いが無ければできなかったと思います。
前川さんがおっしゃっていた言葉で「とにかくたくさん本を読んでほしい。特に小説を読んでほしい」という言葉がありました。もちろん出版されている本全てを読むことは出来ない。それでも1冊でも多くの本を読み、知ろうとすることが何よりも大事という言葉がシンプルだけどなるほどなと思いました。特に良書を読んでほしいと。たくさん読んでいたら良書が何なのかもきっとわかってくるとも。
そしてもう一つとても印象深くて私の心に刺さった言葉がありました。
「できたら図書館に勤めてほしい。そして私が今までみなさんに言ったような仕事をして、図書館で一生過ごしてやってほしい。」少し略していますが。
この言葉は20年以上前にある大学で大学生に向けて言った言葉ですが、私に言ってくれているような気がして。つい最近も図書館職員の試験に書類で落ちてお祈りメールがきて凹んでいたんですけど…。めげないで頑張ろうと思えました。凄く落ち込む前にこの本を読めて良かったです。これからもたくさん本を読んで精進していきます。
こちらの著作集はあと3冊あります。ゆっくり噛みしめて読んでいきたいです。
<出版ニュース社 1999.2>2020.5.7読了