図書室のバシラドール
竹内 真
双葉社
2020-03-18


直原高校の図書室で働く詩織は将来を見据え、司書資格を取るための勉強をはじめた。だが、常連の生徒が家出したらしいと相談を受けたり、チャーシュー論争の解決に講演会を企画したりと慌ただしい。図書委員が文化祭でビブリオバトルをやろうと盛り上がる一方で、詩織自身の雇用契約の期限が迫ってきて―ハートフル・ブックストーリー第3弾!ちなみに「バシラドール」とは、ノーベル賞作家スタインベックの造語『目的地に急ぐより旅そのものを楽しむ人』のこと。

シリーズ第3弾!何だかこれからも続きそうで嬉しいです。
ついに詩織が司書資格を取るためにスクーリングを受けることになります。私は資格を持っているけど、10年以上前だからもう1度勉強し直したいなー。必須科目もちょっと変わっているし…。今回はいつにもまして図書館の専門的内容が多かったように思います。私はそこはグイグイ読めたけど、司書に興味が無い人は大丈夫かなって思うくらいの厚い内容で、私は嬉しかったです。
表題作の「図書室のバシラドール」は常連の1人大隅君が夏休み中に家出をしたらしいと父親が学校を訪れるところから展開していきます。みんながインスタを見て推理していくのですが本が活用されていて面白いです。更に「図書館の自由に関する宣言」の「利用者の秘密を守る」に深く言及しているところもあり、興味をそそられます。「バシラドール」という言葉はスタインベックが作った造語だそうですが、良い言葉ですね。私はどちらかと言うと旅に出るときはめちゃくちゃ計画を立てていくので^m^バシラドールも目指していきたいなと思いました。スタインベックの作品は舞台の予習で読んだ「ハツカネズミと人間」しか読んだことが無いのですが「チャーリーとの旅」がめちゃくちゃ気になりました。積読本が無くなったら絶対に絶対に読みます!←
「文化祭のビブリオバトル」も面白かったなー。本を紹介する生徒たちの熱意が凄い!特に私が興味をそそられたのはやっぱり委員長のオススメ本。崇徳院が読んだ「瀬を早み〜」で始まる和歌は恋の歌だと言われていたからもうそう言うもんだと思って生きてきてました。大河ドラマ平清盛での崇徳院のあの壮絶な境遇を見たにもかかわらず。でも小枝嬢のトークを聞いていたら確かにその方が腑に落ちます。面白かったな。更に「ソフィーの世界」私も中学生の時に読みましたが、全然理解できないまま必死で読んだ記憶があるので^^;いつか再読したいと思っている1冊です。「萌える☆哲学入門」も気になる…。ホント、読みたい本が増えて困ります。
「来年度のマジックシード」こちらのケンカの内容に関してはイマドキって感じですかねー。今の若者はウィキペディアに載っているものが正しいと思っている人も多いらしいですし…。とにかく結論だけ欲しいみたいな感じがよく分かります。「いろんな考え方を楽しむ」って良い言葉だなと思いました。ランチタイム講演会がすんなり通るところとかは出来過ぎ感はありましたけど、どの講演も面白かったです。来年度に関しては上の人が変わるから詩織の境遇も悪い方に変わる…みたいな展開は嫌だなぁと新刊が出ると決まっているわけでもないのに今から嫌がったりしてしまいました^^;

<双葉社 2020.3>2020.5.4読了