アネモネの姉妹 リコリスの兄弟
古内一絵
キノブックス
2019-08-21


兄弟姉妹に一度でも仄暗い感情を抱いたことのあるあなたへ。花言葉をモチーフにした感泣と戦慄の連作短編集。
第一話 アネモネの姉妹 花言葉「嫉妬のための無実の犠牲」
絹子と綾子の姉妹。何もかも完璧で努力を怠らない姉と愚鈍な妹。甘やかされて育った妹に対し姉はいつもイライラしていた。
第二話 ヒエンソウの兄弟 花言葉「私の心を読んでください」
一流大学を出て一流企業の内定を決めた兄。でも、リーマンショックの影響で内定は取り消され、兄は自分探しの旅に出たままどこにいるか分からない。弟は両親の結婚記念日に兄が来てくれるよう連絡を取っても返事が来ない。
第三話 マツムシソウの兄妹 花言葉「あなたは私を置き去りにする」
両親を早くに亡くした兄と妹。妹にとって5つ上の兄は大切な存在。最近彼氏の家に彼の妹が転がり込んできた。それが何だか気に入らない。
第四話 リコリスの兄弟 花言葉「悲しい思い出」
自分たちはクローンだというくらいにそっくりで共に水泳をしている2人。しかし、1人が怪我をして未来を絶たれつつあり、責任を感じた片割れが苦悩していた。
第五話 ツリフネソウの姉弟 花言葉「私に触らないでください」
両親が離婚したことで離れ離れになった姉と弟。やたらと卑屈で愚痴ばかり言う姉が苦手だった。
第六話 カリフォルニアポピーの義妹 花言葉「私を拒絶しないでください」
父が急逝し仕事を引き継いだ姉は古株の社員と上手くいかずに苦悩していた。小説家になった弟が婚約者を連れてくると母親から連絡が入る。

兄弟姉妹の物語。
私は弟と妹がいます。お姉ちゃんなんだからと言われた記憶はないけど、何をするにも自分が最初だったから、何となく損だなーと思ったことはあります。どこも同じとは言わないけど上を見ているから下の子は要領がいいような気がします。
妹は社交的で親は心配することが多かったと思うけど、いつも家にいて何ら面白みのない姉よりも妹を見る方が新鮮で楽しかっただろうなとは思います。妹と両親の間で意見が対立し、私が板挟みになった時期があって、家にいるのが辛くて辛くて仕方が無い時がありました。それなのに和解したらいつのまにか仲良くしていて、どちらも私に謝りもしなくて、本当に面白くなくて辛かった時期もありましたねー。今では笑い話…にはなりませんけど^^;未だにちゃんと思い出すと涙が出てきます。また思い出してしまった。
でもたぶん、妹にも色々言いたいことはきっとあるんだろうし、いい加減大人にならないとなと思いつつ、大人になれません。何だか何言っているかわかりませんね、すみません。
どの作品も良く終わっても悪く終わっても兄弟に対する何となく黒い感情が渦巻いていてドキドキしながら読みました。相手に対してみんな何かしらの想いをきっと抱えているんだろうなと思います。
最後のお話が好きでした。セクハラパワハラな社員のくだりは本当に腹が立ったけど、身近に味方がいることも分かったし、弟の婚約者がなかなかかっこよくて素敵でした。

<キノブックス 2019.8>2019.12.30読了