自分は未来人だと主張し、材料も資金も足りない刑務所内で未来に帰るためのタイムマシン製造に勤しむ受刑者のかなしい決断「未来への脱獄」、長く未解決だった数学予想の証明に取り憑かれた青年と、暗号解読に人生のすべてを捧げた宝探し人の行く末を追う「ひとを惹きつけてやまないもの」など全五編。さまざまな“極限”に直面した人々がそれぞれ選びとる、未来の物語。

松崎さんの短編集です。どの作品も理系女子作家らしい難しい作品でした^^;
「未来への脱獄」はインサイダー取引により逮捕され20年間の刑務所生活が決定した青年と未来人だという初老の男性の物語。青年はいわば暇つぶしというか生きるための意欲を持つためにタイムマシンを作る手伝いをしていたのだけど男性は本気で作っていた。最後に分かった真実とその過酷さ。青年も壮年になったけどちゃんと生きていけるのではと思いました。
「ひとを惹きつけてやまないもの」この作品が中編くらいの重さでした。19世紀のトレジャーハンターと21世紀の数学者が交互に語っているのですが、共通しているのは暗号の解読。解読のためにたくさんのものを犠牲にした二人。最後が哀しい。
「イヴの末裔たちの明日」表題作ですね。AIに侵略されたような世界のせいでロボットが出来る仕事をしている人間は軒並み解雇、クビになった。そこで見つけた仕事は治験を受ける事。そこで不可思議な薬を投与されることになります。何だか難しかったなぁ…。
「まごうかたなき」日本の昔話のようでしたね。妖怪に立ち向かう5人の男たち。妻帯者、失恋者、お面の男、犯罪者、少年。それぞれが何かしらの想いを抱え、1番強い介錯人は手を貸さない。オチが怖い。失恋者が可哀想すぎた…
「方舟の座席」「ひとを惹きつけてやまないもの」でも登場した未確認飛行物体が登場し、世界が破滅した地球からいつの間にか脱出していたレイ。あしながおじさんに救われたと思っていたけど、あしながおじさんの正体が本当に気持ち悪かった…。自分の意志をしっかり持ったレイの未来はきっと明るいと思う。いつそうなるかが分からないけど…

<東京創元社 2019.11>2019.12.26読了