市民ランナーのカリスマ、大迫傑、初の著書--。
これは、MGCの前に、オリンピックの前に必読の書である。大迫傑は、悩みはすべて走ることで解決してきたと言う。走っている間は、自分自身とじっくりと向き合え、答えを見つけられるのだと。
「僕が走ってきた中で見つけたこと、出会ったこと、現在の僕を形作っているものについて振り返ってみた」のが本書の内容だ。大迫傑の、強さも弱さもすべてがさらけだされ、そこにこの本を出すことの覚悟、これから挑むことへの覚悟を感じる。
彼が教えてくれるのは、走ることの辛さと喜び。そしてそれを経験して学ぶ”生き方”。マラソン日本記録保持者の葛藤から生まれた思考法が1冊に詰まっている。
MGC前に出版するというのが凄いですよね。潔いです。
大迫選手を最初に知ったのは早大1年生の時の1区を走った時だと思います。最初から飛び出して、ずっと独走状態で走り切った見事な走り。その年に早大は出雲、全日本、箱根駅伝の3冠を達成したんですよね。懐かしいなぁ…。可愛い顔とは裏腹に大きなストライドでビュンビュン走る姿はとても勇ましくてかっこよかったです。
それでも大迫選手は小学生の頃から色々考えて行動して、自分の事を冷静に分析していたんですね。親御さんが自分で決めるように教育をされていたんでしょうね。佐久長聖時代はあまり知らないのですが、現東海大監督の両角監督に指導を受けていたんですよね。
大迫選手がマスコミに対して強気な発言が出来るのはそれに見合った努力をしているから。周りに何と言われようと、自分がやってきたことに自信を持っているから。だから言い訳はしない。かっこいいです。
大迫選手の言葉は、スポーツだけではなく、生きていく上でも活きてくると思います。
何かをしようと思う時に悩んで人に相談したとしても決断するのは自分。それで失敗した時に自分が選んだからとちゃんと責任を持てるから。人が決めたことをそのまま選んで失敗したら人のせいにしてしまう。言い訳してしまう。
そうしてしまわないために、自分で選んでそれが正しかったと思えるように努力する。なかなか出来ることではないですよね。読んでいて勉強になりました。
走ることは6年前に止めたのですが←また少し走りたくなりました。少しだけ^m^
<文藝春秋 2019.8>2019.12.15読了