ツナグ 想い人の心得
辻村 深月
新潮社
2019-10-18


もう一度だけ亡くなったあの人に会えるとしたら、あなたは何を伝えますか? 死者との再会を叶える使者「ツナグ」。長年務めを果たした最愛の祖母から歩美は使者としての役目を引き継いだ。7年経ち、社会人になった彼の元を訪れる依頼者たちは、誰にも言えぬ想いを胸に秘めていた――。後悔を抱えて生きる人々の心を繫ぐ、使者の物語。シリーズ累計100万部の大ベストセラー、9年ぶりの待望の続刊!

「ツナグ」からもう9年も経つんですね…。物語の中では7年が経過していて、どちらにしても月日が流れるのは早いなぁと思います。歩美も大人になりましたね。どの心得も本当に素晴らしかった。優しくて温かい気持ちになれました。
「プロポーズの心得」役者の紙谷ゆずるが噂の使者と会うことにし、やってきたのは小さな少女だった。めちゃくちゃ言動がしっかりした女の子が登場してあれ?歩美は?と思ったのですが最後にすべてが氷解しました。ゆずるが好きな女の子。その子に死んだ親友を会わせてあげたい。でも、その使者からルールを聞き、諦め思い浮かんだのは自分が、顔も知らないで死んでしまった父親に会うこと。しょうもないお父さんであり、旦那だったんだろうけど、ゆずるのことはちゃんと愛していたことが分かって良かったです。
そして今回使者の役割を果たした杏奈。跡取りにふさわしい器ですよね。大ファンの役者に逢いたいから仕事を引き受けたけど、ミーハーな気持ちは完全に抑え込んで相手と向き合っていて。8歳とは思えませんでした…大人・・・。そしてゆずるの想い人。フルネームで聞いてピンときました。私も気になっていたんです。とりあえず幸せそうで良かったです。
「歴史研究の心得」面白いですね。自分が愛してやまない歴史上の人物と逢いたいなんて。矍鑠とした、でも、多分オタクっぽいおじいさん^^変に頑固だったり一辺倒だったりする感じは昭和な男でしたけど、自分が一生をかけて研究してきた上川岳満に会うということに関しては可愛らしかったですね。
「母の心得」形は違えど娘を喪った2人の女性が娘に逢いたいと歩美に依頼をします。特に時子さんが素晴らしい女性でした。娘の生きた人生を辿り、娘をもっと知りたいと思い勉強するなんてなかなかできることではありません。皆さんがとても美しく見えました。
「一人娘の心得」鶏野工房の一人娘、奈緒の話。でも今回は他の話と少し違いました。奈緒は真面目で真っ直ぐな素晴らしい女性ですね。歩美の気持ちは分かりましたが、私も杏奈の言うように余計なお世話だと思いました。歩美は今回使者の仕事に対して考えさせられたことがたくさんあったんじゃないかなと思いました。
「想い人の心得」歩美の祖母の時から5年に1度、死者に何度断られても依頼をする蜂谷という料理人がいた。40代から依頼を始め、80代になった。始めに修行をしたお店の一人娘、絢子に会うために。蜂谷の純粋な想いにため息が出るようでした^m^死者が感じる時間と生きている私たちの時間は違うんでしょうね。同じ時代に生きられたことを嬉しく思う。私もこのブログにそんな言葉を言ったことがあるような気がしますけど、本当にそうなんですよね。だから、自分の想いに対して後悔をしてはいけない。蜂谷の言葉に歩美は一歩を踏み出します。歩美の気持ちは何となく想像できました。だって素敵な人だもんね。今すぐ結婚とかそういうわけでもないから想いを伝えるのは良いんじゃないかなと歩美を応援しながら読み終えました。
以前はそこまで考えていなかったけど、私は誰に逢いたいかと考えたら今は真っ先に祖母に逢いたいと思います。ばあちゃんに逢いたいです。ばあちゃんが生きた87年のうち、私は34年しか関わっていないけど、ばあちゃんはばあちゃんになってから幸せだった?と聞きたいです。聞いてどうなるわけでもないのだけど、幸せだと感じていたら良いなと思います。

<新潮社 2019.10>2019.12.5読了