夜 は お し ま い
島本 理生
講談社
2019-10-25


島本さんの小説はいつも、自分は傷ついているのだと気づかせてくれる。――藤崎彩織
深い闇の果てに光を掴もうとする女性たちの、闘いと解放。直木賞作家の真骨頂!
性とお金と嘘と愛に塗れたこの世界を、私たちは生きている。ミスコンで無遠慮に価値をつけられる私。お金のために愛人業をする私。夫とはセックスしたくない私。本当に愛する人とは結ばれない私―。秘密を抱える神父・金井のもとを訪れる四人の女性。逃げ道のない女という性を抉るように描く、島本理生の到達点。

4つの短いお話なのにどれも重たくて余韻が残るような作品でした。読んでいるとじわじわと体を傷つけられるような気分になりました。女という性別を無遠慮に価値づけられたり、女を武器にしてお金を稼いでいたり。男を利用しているようで過去に傷つけられていたり。本当に抉られているような感じでした。
どの作品にも金井神父が登場します。金井神父は妹のために神父になり、過去の過ちを引きずって生きていて、だからこその懐の深さのようなものを感じます。
更紗さんの弟の言葉が一番しっくりと来たような気がします。出来た弟ですね。私は20代の時にパワハラを受けたからか基本的に男性は苦手で信用できないと思ってます(ごめんなさい)だから自分で稼いで自分のお金で好きなことを好きなようにしていきたいと思っている。それでも女という性別が邪魔をすると思う時がある。これは多分一生付きまとう問題なんだろうな。結婚していてもしていなくても、子どもがいてもいなくても。なんかそれを突きつけられた気がしました^^;

<講談社 2019.10>2019.11.26読了