目を見て話せない
似鳥 鶏
KADOKAWA
2019-10-31


千葉の房総大学の新入生・藤村京は入学早々、友達づくりに乗り遅れ、愕然としていた。自らの“コミュ障”ぶりを嘆いていると、教室に高級な傘の忘れ物を発見する。他人と会話をするのが苦手な藤村は、推理だけで傘の持ち主を特定しようとするが!?セレクトショップの試着室から消える女子大生の謎、カラオケルームで起きた泥酔事件の真実…大学内外で起きる事件をひとつずつ解決していくにつれ、藤村の周りは少しずつ賑やかになっていって―。

入学早々のガイダンスの時に高級な傘の忘れ物の持ち主を見つけたことで加越さんというお友だちが出来た藤村。小学校の同級生である里中と、加越さんと同様に最前列で授業を聞いている皆木さんとも仲良くなっていきます。
何となく大学生活を過ごしていく中で巻き込まれていく藤村。人と話をするのは苦手だけど、持ち前の推理力で事件(?)を解決していきます。1話から4話までは大学生活の中でありそうなものだったけど(いや、お祭りでお財布をすられるというのはないか?)最後の話は腸が煮えくり返るようでした。パソコンが無くなり勝手に犯人を仕立て上げたこともそうだけど、更なる事件を巻き起こした犯人は本当に許せません。自分の地位を利用してセクハラにパワハラ。そして大学生には大切な内定をちらつかせるなんて最低です。同じゼミの人たちも藤村が言うように大っ嫌いです。人の事を平気でバカにしてあざ笑うような人と一緒にいたいなんて思えません。加越さんの行動はなかなか大胆だけど素直でかっこいい。でも、ちょっと生きにくそうな気がします。それは4人全員がそうかもしれないけど…。
小学生の時の失敗からコミュ障になってしまった藤村だけど、大学ではいい友達に巡り合えたんじゃないかな。ちゃんと靴紐がほどけて結んでいる時にいないと気付いて声をかけてくれる人がいるなんて、とても素敵なことだと思います。

<KADOKAWA 2019.10>2019.11.21読了