べらぼうくん
万城目 学
文藝春秋
2019-10-11


「水たまりをのぞいたら、そこに映っていたのは青い空だった」
べらぼうとは漢字で「篦棒」と書く。「あまりにひどい」「馬鹿げている」「筋が通らない」といった意味の他に、端的に「阿呆だ」という意味がこめられているところが気に入った。
どうにもうまくいかぬ男の、十歩進んで九歩下がる日々をまるっと包みこんでくれるようで、あの頃の蒼白い顔をした自分に「よう」と呼びかける気持ちで、『べらぼうくん』とタイトルを決めた。(あとがきより)
未来なんて誰にもわからないのだ。川べりを俯き歩く万城目青年は、いかにして作家としての芽を育てたか。万城目ワールドの誕生前夜を描く極上の青春記であり、静かに深く届けたい人生論ノート。

万城目さんの高校生から小説家に至るまでの諸々を書いたエッセイ?です。
鯨統一郎さんの小説家になるまでの私小説も結構崖っぷちな感じでしたが、万城目さんも結構ギリギリな感じでしたね…。でも、確かに私は万城目さんと直接お会いしたことはもちろんありませんが、小説家になるために安定した仕事を退職して無職の状態で小説を書くという行為はするとは思えないような気がします。そういう行動を取ったのは意外でした。
それで真面目に一身に小説に向き合ったのかと思いきやそうでもなかったようで^m^無職時代はビルの管理人で結構引きこもっているような印象を受けましたけどだからこそ奥様との馴れ初めなども知りたいもんですね←
3で割り切れる数字は縁起が良いというのは初めて聞きました。私が今まで受けてきた受験番号が3で割り切れたのかは覚えていないですけど、多分関係ないですよ。気の持ちようですよ←
でも、私も法学部に入学する人は弁護士や外交官などを目指して勉強しているものだと思ったのですが、万城目さんは違ったんですね。周りとの違和感にちょっとイラッとして、自分と同じように違和感を感じているような人を見かけて、それが宇治原君だったというのは何だか運命を感じます^m^宇治原君だって弁護士とかエリートを目指しているんじゃなくて、芸人で京大出身だったらウケそうみたいな理由でしたもんね。
浪人時代に学生生活に留年、社会人時代と人の人生に対して言い方が合っているかわかりませんが面白く読みました。色んな人生があって、どれも決して間違いじゃないんですよね。

<文藝春秋 2019.10>2019.11.4読了