そしていま、一人になった
吉行 和子
ホーム社
2019-04-23


父、兄、妹、そして母・あぐりへ。
女優・吉行和子がいま明かす、あふれる想い。
父は詩人で作家の吉行エイスケ、母はNHK朝ドラ主人公である美容師のあぐり、兄は作家の吉行淳之介、妹は詩人・作家の吉行理恵という一家に育った女優・吉行和子が、107歳まで生きた母の三回忌を終えたいまだからこそ語れる家族の歴史、そして80歳を過ぎた自分の来し方について綴る。
○推薦のことば
「風を受け流す柳の枝のようですね、和子さんは! さわさわと貴女はなにを語ってくれるのですか?」――俳優・藤竜也
○目次
第一章 母・あぐり、百七歳の静かな旅立ち
第二章 私にとっての吉行家
第三章 劇団民藝からはじまった女優人生
第四章 兄・淳之介、妹・理恵との日々
第五章 人生の残り時間を楽しむ

私が初めて最初から最後まで欠かさず見た朝ドラが「あぐり」でした。どうしてその朝ドラを見ようと思ったのか、そのきっかけは分からないのですが。
でも、ドラマはとても面白かったです。若くして結婚した主人公は家族のために美容師として修業をして働きます。その間に戦争も経験します。
ドラマを見ていた当時、主人公のモデルの方がまだご健在だと知って驚きました。更にその当時はまだ現役の美容師だったんですよね。
吉行さんの存在もこのドラマを見て知ったと思います。そういえば野村萬斎さんもこのドラマを見て知ったなー。斗真君も出てたね。
田中美里さんが演じる望月あぐりはとても魅力的でした。世間知らずでぽわっとしているのだけど、芯が強くてまっすぐで一生懸命で。この本を読んで実際のあぐりさんもそんな感じだったんだなぁと思い嬉しくなりました。
ドラマは今でも覚えているんですけど、中でも戦時中にあぐりと淳之介が一緒にいたら兵隊に「日本がこんな大変な時に男女交際とは何事か!」と怒鳴られ、親子だと言っても信じてもらえなかったシーンが印象的でした。
17歳しか離れていない2人。放浪癖のあるエイスケさんが旦那さんだし早くに亡くなっているから、淳之介は恋人のような感じだったのかもしれないですね。淳之介さんハンサムだし。2人のエピソードも恋人のように可愛らしいですし。でも、性教育を息子に教わったと書かれていたところでは吹き出しましたよね。面白すぎますよ、あぐりさん。
和子さん自身の事も書かれていましたね。私が女優さんとして印象的なのは「ごちそうさん」のぬか床役ですかね^^和子さんはおばあちゃん役のイメージがやはり強いですが、話し方に気品があって好きです。
この本を読んでいて気になる作品が出てきたので、いつか観たいと思います。
あぐりさんは最後10年間も寝たきりだったんですね…。頭がしっかりしているのに身体が動かないって、本当に家族も辛いと思います。少しぼーっとできたらと思うお気持ちも分かります。
ご家族の事を書いてくださり、ありがとうございました。
私が言うのもおこがましいですが、どうか吉行さんご自身も元気で長生きしてください。

<ホーム社 2019.4>2019.7.20読了