マジカルグランマ
柚木 麻子
朝日新聞出版
2019-04-05


若い頃に女優になったが結婚してすぐに引退し、主婦となった正子。映画監督である夫とは同じ敷地内の別々の場所で暮らし、もう五年ほど口を利いていない。ところが、75歳を目前に先輩女優の勧めでシニア俳優として再デビューを果たすことに! 大手携帯電話会社のCM出演も決まり、「日本のおばあちゃんの顔」となるのだった。しかし、夫の突然の死によって仮面夫婦であることが世間にバレ、一気に国民は正子に背を向ける。さらに夫には二千万の借金があり、家を売ろうにも解体には一千万の費用がかかと判明する。
亡き夫に憧れ、家に転がり込んできた映画監督志望の杏奈、パートをしながら二歳の真実ちゃんを育てる明美さん、亡くなった妻を想いながらゴミ屋敷に暮らす近所の野口さん、彼氏と住んでいることが分かった一人息子の孝宏。様々な事情を抱えた仲間と共に、メルカリで家の不用品を売り、自宅をお化け屋敷のテーマパークにすることを考えつくが――
「理想のおばあちゃん」から脱皮した、したたかに生きる正子の姿を痛快に描き切る極上エンターテインメント! 「週刊朝日」連載の書籍化。

いやーなんというか…パワフルなおばあちゃんでしたねー…。こんなパワフルでよく50年近くもひっそりと大きな屋敷の中だけで生きていましたね。ひっそりでもないのか。それとも今までの分が爆発されたのか…。
柚木さんが主人公の正子は良い人というわけではないとおっしゃっていましたが、確かにそうで、私は近づきたくないしお友達にはしたくないタイプです^^;
それでもお金を貯めるため、自分が再び注目されて女優に返り咲くためのしたたかさやパワフルさは尊敬に値しますよね。何もかも諦めているようで諦めていない。
それに自我が強いわりに頭は柔軟で息子の事もさらりと理解するし、現代の諸々にもちゃんと順応してる。そこも凄いなと思いました。
でも後半からの諸々はちょっとやり過ぎというか怒涛の展開過ぎてちょっとついていけませんでした^^;パワフルすぎる。それでも確かに正子は泣いたり笑ったり怒ったり、なんだかんだで楽しそうで幸せそうでなによりだと思いました。

<朝日新聞出版 2019.4>2019.5.31読了