剛君の舞台を観に行ってきました。
シアターコクーン久しぶりだなー。いつ以来だったっけ?と思ったら「ビニールの城」以来でした。
席がA席だったので1列目!と思ったら2列目でしたけど、近い近い。
近すぎておかれている物によって演者の表情が見えない時もありましたが^^;
皆さんの細かな表情を見ることが出来て良かったです。
それでは、ネタバレを含みますので、隠しますね。

率直な感想は「…分からない!」でした^^;
いやー分からない!そういう感想を目にしていたのでガン見して頑張っていたのですが分からなかったです。
でも、分からないと思ったところは観劇している人が見て考えてそれぞれの答えで良いという意味もあるのではないかと偉そうに解釈してみました^^;
舞台は反政府軍のアジト。過去に小学校だった建物。そこで反政府軍の兵士たちが少数精鋭の状態になりながら闘っていた。
始めは闘いが終わった後。多岐川秋生がアジトのあった小学校にやってくるところから始まります。
生保レディの田中さんや仲間だった二見もふわっと登場して過去の事を話します。
台詞が理屈っぽくて冒頭で聴く台詞としては難しかったです。ここに椅子があるから座ってみようと思って座ってみた。疲れていると言っているけど本当は疲れていないんじゃないか。麓から山道を歩いてきたと言っているが本当に歩いてきたのか。あの時、秋生は司令部に派遣されてこの場にいなかったけど、本当はいたのではないか。いやーどういう意味だろうと思いながら聴いてました。
二見がここで田中さんが死んだのは自分のせいじゃないと言っていたので、田中さんはいつか死ぬのか。ということは分かりました。
そこでこの場所で起きていた出来事の数々を回想していきます。
反政府軍だから状況としては追い詰められている側。それでも仲間たちが一つの事に対して一生懸命取り組んでいる姿は青春すら感じました。どこか子供っぽいところもあって。
土居はそんなみんなの子供っぽさを俯瞰して見ているような感じがあって、リンは子供っぽさもあるけど秋生に迷惑をかけないよう、自分も役に立てるよう少し背伸びしているような感じがあって、秋生はそんなみんなを見守っているような。背中で語るじゃないですけど、何ですかね。剛君の背中って細いのに貫録と哀愁と寂寥と、何だか色々伝わってくるような気がするんです。最初に暗闇の中1人歩いている姿。なんというか…オーラを感じました。みんなが秋生に一目置いている理由が何となくわかる気がしました。
リンが暴漢に襲われたことで皆の感情が少しずつ動いていく。
秋生が信頼しきっていたリーダーに対して不信感を抱き始め、リーダーを信じられなくなったらリンの事を好きだということも分からなくなって。勝手に事を大きくしてしまっている気もするけど、秋生は真面目なんですよね。真面目だから何でも真面目に考えちゃう。リンもそこは分かっていたんじゃないかな。
2人をつなげているのは古いアパートで過ごした時の事。すべてはそこから始まっていて。
リンをかばい、毛布を掛けるところとか優しくキスをするところとか、2人の関係が凄く凄く可愛くて、キュンキュンしました。あのプロポーズとかやばかったよね!←観客は背中しか見れなかったけど、その時の秋生の表情をみてみたかったな。「返事は?」という言葉が優しくて温かくて…何だか泣きそうになりました。せっかく秋生がちゃんと気づいて決意したのに…。
可愛いシーンや笑えるシーンがありつつも段々不穏な空気が漂っていましたね…。真山の母親とカワグチのたくらみとか、暴漢の正体とか…。
暴漢の正体は土居だったのでしょうか…。カメラにリンの写真がたくさんあったということはリンの事が好きだったのでしょうか。闘おうとするリンを止めるため?それともただただ自分の欲求のため?土居がやったのだとしてもその真相は想像するしかありません…。
カワグチは自分の身を守るため、名誉のためだけに真山の母親を利用したのでしょうか。そこに少しでも愛は無かったのでしょうか。真山の母親には息子を守るということだけではなく、愛もあったのだと思います。
真山が香水の匂いにより、母親だと勘違いして田中さんを殺してしまった事に関してはもう悲しいとしか言いようがありませんでした。田中さんも何を考えているのか分からない人だったけど、それでも死んでいい人では決してなかった。真山が母親だと思って銃を向けたのはただ母親がスパイだったからという激昂からでしょうか。それともこれ以上罪を重ねないでほしいという息子心もあったのでしょうか。
二見がカワグチに殺されたのが分かり、また政府軍からの攻撃を受けたことで、反政府軍はどうなったのでしょうか…。
私は最初、秋生は生き残っていたのかと思っていたんです。田中さんが亡くなっていて二見は生きた人間だと思っていたから。
でも、二見が死んでいたのなら、反政府軍はみんな死んでしまっているのかなとも思いました。
最後の土居とリンのシーン。リンは麓から秋生が帰ってくるからと校門で待ってると言っていたのに秋生は中庭?から出てきました。タニや田中さんのように。それに、リンが20年後の私へというここの小学校に通っていた女の子の手紙を読んでいるとき、タニグチと話していましたが、秋生とリンの結婚に対して「皮肉?」と言っています。それはプロポーズをされて夫婦になれるけど既に亡くなっているから出た「皮肉」という言葉なのかなとも思ったり。
秋生は田中さんからリンが暴漢に襲われたときに引きちぎったボタンをポケットにずっと入れていました。それが届かないくらいの場所に飛んでいるのはどういうことなのか…。
そしてボタンが取れないと言っている時に秋生が着ている服はボタンの取れた土居のジャケット。秋生がそれに気づく前に暗転しています。
誰が生きていて誰が死んでいて、リンを襲った暴漢は誰なのか、本当に分からない。
最初私が考えたように秋生だけ生き残ったのか、それともみんな死んだのか、それとも逆に秋生だけ死んだのか…。考えても考えても答えは出ません。ある意味めちゃくちゃ余韻の残る作品でした。
こういう作品も良いですね。分からないけど自分で色々考えることが出来るのは楽しいし嬉しい。
何度も観劇して伏線などがあったら回収したいところなのだけど、私にとって最初で最後の1度の観劇でした。
それでも1度だけでも見ることが出来て良かったです。ありがとうございました。