これまで、苦しんできた人達を救ってきた「マカン・マラン」の店主・シャール。今回、シャールを訊ねてきたのは謎の美青年。彼の決意や未来の話を聞く中で、シャールはこの夜食カフェを始めたきっかけを思い出す――。

ついに最終巻のマカン・マランシリーズ。最初から四部作と決まっていたみたいですね。
今回登場したのは、仲間外れにされた父子家庭の女子高生、若くしてトップに上り詰めたシェフ、タワーマンションの最上階に住むセレブ妻。それぞれに悩みを抱えて追い詰められていくのだけど、そういう時って自分の事しか考えられなくて、自分が1番不幸だくらいに思っちゃうんですよね。でも、自分以外の人たちだってみんな悩んでいる。そして、自分を変えるのは自分自身。
当たり前の事なのに、それが気づけない。
シャールさんの温かくて深い心と優しい料理にいつも癒されます。
この作品は今まで出てきた人たちもちゃんと登場するのが良いですね。それも嬉しいです。
タイトルにおしまいと書かれていたから、シャールさんの身に何かあったのではないかとドキドキしましたが、そうではなくてほっとしました。また最後がシャールさんと柳田教諭の二人というのが良いです。学生時代の事を知っている人が、年を重ねても友人でいるのって凄く幸運だと思います。二人の関係がとても好きでした。
この作品に出合えて本当に良かったです。

<中央公論新社 2018.11>H31.2.12読了