熱帯
森見 登美彦
文藝春秋
2018-11-16


汝にかかわりなきことを語るなかれ――。そんな謎めいた警句から始まる一冊の本『熱帯』。
この本に惹かれ、探し求める作家の森見登美彦氏はある日、奇妙な催し「沈黙読書会」でこの本の秘密を知る女性と出会う。そこで彼女が口にしたセリフ「この本を最後まで読んだ人間はいないんです」、この言葉の真意とは?
秘密を解き明かすべく集結した「学団」メンバーに神出鬼没の古本屋台「暴夜書房」、鍵を握る飴色のカードボックスと「部屋の中の部屋」……。
幻の本をめぐる冒険はいつしか妄想の大海原を駆けめぐり、謎の源流へ!
我ながら呆れるような怪作である――森見登美彦

いや本当に怪作ですね…。感想は一言では言い表せない。面白かったとも言えるしよくわからなかったともいえる^^;読みながらこれは今誰のどのシーンを読んでいるんだろうと思いながら読んでました。最初はまさかのモリミーが語り部だし、そのあとは白石という女性、そこから突然物語が展開していき、誰が語り部なのか分からないというか物語が始まるというか…。自分でも何を言っているんだろう。
1982年に刊行された「熱帯」という小説。この小説を最後まで読むことができない謎。そしてその謎を解くために集まって読書会が開かれます。読んだ人たちがどこまで読んだのか話し、検証していくのですがその謎を探るために読書会の会員たちも周りの人たちの動向を探るようになります。そこから雲行きが怪しくなっていきます。
「物語の終わりは新しい物語の始まり」っていう事なんですよね。何度も物語が終わりかけて新しい物語が始まって。その繰り返し。
「汝にかかわりなきことを語るなかれ。しからずんば汝は好まざることを聞くならん」
全てはこの言葉に詰まっているんですよね。
難しかったし、頭を使ったけど、モリミーワールドを堪能しました。
モリミーの作品はまだまだ未読本が多いので読み進めていきたいです。

<文芸春秋 2018.11>H31.2.9読了