まれびとパレード
越谷 オサム
KADOKAWA
2018-10-31


人生を変えてくれたのは、人間ではない何かでした――。
ゾンビ、座敷わらし、泥田坊、邪鬼――。彼らに出会ったら、何だか少し、変わるかも!?
元恋人に再会した私。でも、彼はゾンビになっていて――。(「Surfin’ Of The Dead(邦題:サーフィン・ゾンビ)」
引きこもりの弟が恋したのは、座敷わらしだった!?(「弟のデート」)
怪しい男の声がする。通報を受けて倉庫跡地に行った市職員が出会ったのは――。(「泥侍」)
興福寺東金堂の四隅を護る四天王立像。彼らに踏まれ続けている邪鬼たちの冒険譚。(「ジャッキーズの夜ふかし」)

越谷さんの新刊。4編の短編?中編?が書かれていますがどれも人間ではない何かが登場します。
それでも怖いものではなくて何だか可愛らしくて憎めない。どの人(?)も可愛らしい印象でした。
「Surfin’ Of The Dead(邦題:サーフィン・ゾンビ)」結婚を機に東京から地元に帰ってきた私。地元の収入源だったサバが獲れなくなってから深刻な貧困と化していた街。実家の食堂も閑古鳥が鳴いている。そんなある日、私は元恋人と再会する。彼は1年前の台風の日から行方不明になっていた。
このゾンビがなかなかグロテスクなのですが^^;それでも中身は彼のままで。そして彼との別れの後、思わぬ展開が待っています。彼はそのことに気づいていたのかな。
「弟のデート」ある事情からひきこもりとなってしまった弟が座敷童のために奔走し、変わろうとしている姿が健気でした。それを陰ながら応援しているお姉さんにも。
「泥侍」私、この作品が1番好きでした。地縛霊の様にたたずむ青空の祖先。江戸時代の人なのに割と臨機応変に対応していて話も分かる人。この作品も最後がかなり意外なのですが良いラストでした。
「ジャッキーズの夜ふかし」日頃見ている仏像が夜にこんなことをしていたら。想像したらおかしくて可愛いです。興福寺はずっと行ってみたいと思っている場所なんです。行きたいなぁ。

<角川書店 2018.10>H30.12.9読了