愛なき世界 (単行本)
三浦 しをん
中央公論新社
2018-09-07


オススメ!
恋のライバルが人間だとは限らない!
洋食屋の青年・藤丸が慕うのは狄∧瓩慮Φ罎飽貪咾並膤惘\検λ楝爾気鵝殺し屋のごとき風貌の教授やイモを愛する老教授、サボテンを栽培しまくる「緑の手」をもつ同級生など、個性の強い大学の仲間たちがひしめき合い、植物と人間たちが豊かに交差する――
本村さんに恋をして、どんどん植物の世界に分け入る藤丸青年。小さな生きものたちの姿に、人間の心の不思議もあふれ出し……風変りな理系の人々とお料理男子が紡ぐ、美味しくて温かな青春小説。

しをんさんの新刊だ!と思い、内容を知らずに読み始めたので、タイトルからドロドロの恋愛劇なのかなぁなんて想像してたんですけど全然違いました^^;
愛なきというのは植物の事だったんですね。
円服亭の主人の料理にほれ込み住み込みで働いている藤丸は常連の大学院生本村さんに恋をします。簡単に言うとその藤丸君の恋愛模様が描かれているのですが、ライバルが人じゃないので一筋縄ではいきません。
本村さんはシロイヌナズナの研究をしており愛のない植物を研究するのだからと恋愛や結婚はしないと決めています。あっさり玉砕する藤丸ですが、徐々に植物の魅力に惹かれても行きます。
この藤丸君が本当にまっすぐで純粋で、良い子なんですよねー。表現がいちいち可愛いんですよね。イチョウの葉っぱを見て「妖精が吹くラッパみたい」とかめちゃくちゃ可愛くないですか。あっさり本村さんに告白したりとか、口調とかはめちゃくちゃイマドキな子というイメージでしたけど、最後にはすっかりファンになっていました^^
素直に本村さんを応援しているのも良いですよね。そして自分の料理の道にもちゃんと向き合って邁進している。それは本村さんにも言えることだけど、好きなことに一生懸命な人ってなんてキラキラしていて素敵なんだろうと思いました。勿論苦労も多いでしょうけど。
また脇を固める人たちも個性的で魅力的です。松田先生は殺し屋みたいにいつも黒のスーツを着ている見た目は怪しい人なのですが、実は大学院生時代に友人を失った過去があったんですよね。それが色々繋がっているのかなと思うと切なかったです。それでも、友人の親が言った言葉が救いになったんじゃないかな。っていうか親御さんが素敵すぎました。おイモ大好き諸岡先生もいい味出しているし、川井さんも岩間さんも加藤さんも面白くて優しいし、円服亭の主人も素敵だしはなちゃんも可愛い。みんな本当に素敵でした。
タイトルに反してたくさんの愛に満ち溢れた作品だったと思います。
好きなことに一生懸命になる事、簡単だけど難しいですよね。私もそうなりたいと改めて思わせてくれた作品でした。面白かった!

<中央公論新社 2018.9>H30.11.4読了