
著者:櫻部 由美子
角川春樹事務所(2017-09-01)
販売元:Amazon.co.jp
光の魔術師ヨハネス・フェルメールと、微生物学の父アントニー・レーウェンフック。ふたりの天才を結ぶ、大切な約束―。時を超える友情、運命の恋、謎の少女。角川春樹小説賞受賞後第一作、渾身のアートミステリー!
タイトルを見て予約をした1冊。
週末に無事に辿り着ければ東京のフェルメール展へ行く予定なのでタイミングが良かったです。
内容はフィクションですが、登場人物はフェルメールにレーウェンフックと実在の人物です。2人が住む小さな町で起きたミステリと、史実に基づいた内容が織り交ぜられているような感じでしょうか。
フェルメールとレーウェンフックは同い年で同じ街出身のため、著者や専門家は2人は知り合いだったのではないか、更に仲が良かったのではないか、と仮説を立てているそうです。実際に、レーウェンフックはフェルメールの遺産管財人にもなっているそうですから私も知り合いでそれも仲がいい方だったんじゃないかなと思います。この作品の中でも2人は信頼し合っている感じが良かったです。
ミステリに関しては職人が数人、突然失踪し、警察が捜索するも見つからないまだ事件とは言えないくらいのものです。それにフェルメールとレーウェンフックがいつの間にか関わっていってしまいます。
2人の会話の中でフェルメールの作品も絡めた話も出てきたりして思わずにんまりしたりもしました。実際「天文学者」と「地理学者」という作品はレーウェンフックがモデルと言われているそうです。
フェルメールの作品は30数点しかないと言われていて、どれもがフェルメールの自宅から半径500m以内の狭い空間で描かれているものだそうです。
この作品の通り、フェルメールはアムステルダムに行くことを夢見つつ、地元で一生を過ごしたのかもしれないですね。フェルメールは晩年(と言っても若いですが)貧乏で苦労したみたいで、そう言われている前の時代で物語は終わっているので輝かしい未来を感じられる終わり方がまた良かったと思いました。
<角川春樹事務所 2017.9>H30.10.3読了