エンディングドレスエンディングドレス
著者:蛭田 亜紗子
ポプラ社(2018-06-08)
販売元:Amazon.co.jp

32歳の若さで夫に先立たれてしまった麻緒(あさお)は、自らも死ぬ準備をするうち、刺繍洋品店で小さなポスターを見つける。
◆終末の洋裁教室◆
講師 小針ゆふ子 毎週日曜午後一時から
春ははじまりの季節。
さあ、死に支度をはじめましょう。
あなただけの死に装束を、手づくりで。

死に装束=エンディングドレスを縫う教室。
人生最後に着る服を自分でつくるということに、興味が湧いた。
教室へ足を運んだ麻緒が出会ったのは、ミステリアスな先生と、3人の陽気なおばあさん。
聞けば、エンディングドレスを縫う前に、いくつかの課題があるという。
はたちの時にいちばん気に入っていた服
十五歳の時に憧れていた服
自分以外のだれかのための服
自己紹介代わりの一着……
先生やおばあさんトリオの助けを借りながら、麻緒は洋服づくりに無心で取り組んでいく。
夫の弦一郎に、命にかかわる持病があることはずっと知っていた。
それでも二人は、一緒にいることを選んだ。
洋服の思い出が、忘れていた想いや出来事を次々に引き出して――。
あつい涙があふれる! 再生のその先を描く、希望に満ちた傑作長編。

蛭田さんの新刊。読みました。
32歳、私と同世代の女性が夫と死に別れてしまったら…全然想像もつきませんでした。
私はまだ結婚するような男性に会ってすらいない。
麻緒と弦一郎の関係は空気のようにまるくて一緒にいるのが当たり前のような雰囲気。
もしかしたら長く生きられないかもしれない。覚悟のうえでの恋愛、結婚。
そしていなくなった喪失感。始めの麻緒は見ていられないくらい弱弱しくてぽっきり折れてしまいそうなくらい儚いイメージでした。でも、服を作っていくことでどんどん変わっていきましたね。洋服を作る事で生きていく活路を見出していったような。
そして終末の洋裁教室なんて教室を作るくらいだから先生もきっと何かを失っているんだろうなぁと思ったら、先生の物語も切なかったですね。
陽気なおばあさんたち、千枝子さん、おリョウさん、しのぶさんも様々な人生を歩んでいて、年季を感じました^^
麻緒の最後のシーンがとても素敵でした。

<ポプラ社 2018.6>H30.7.12読了