さよなら、わるい夢たちさよなら、わるい夢たち
著者:森 晶麿
朝日新聞出版(2018-02-20)
販売元:Amazon.co.jp

〈日本悪夢すぎるだろ。待機児童って何だよ、待機してんのは俺たち家族な〉
〈出てったよ。もう疲れました、だってよ。〉
〈嫁帰ってこない。詰んだな。〉
ジャーナリストの長月菜摘は、学生時代の友人・薄井麻衣亜の夫のSNSから、彼女が幼い息子を連れて家庭を捨てたことを知る。
夫も、両親も、友人も、同僚も、彼女が消えた理由を知らないというが、誰もが麻衣亜を失踪に駆り立てるだけの要因を持っていた――。
現代女性が背負わされた、見えない「重荷」の正体を抉りだす、本格社会派ミステリー。
アガサ・クリスティー賞受賞作家の新境地!

SNSから高校時代の友人が行方不明になったことを知り、探し始める菜摘と丘咲。
徐々に明らかになっていく、麻衣亜の幼少期の心の傷と現在の姿。
哀しいですね…麻衣亜自身のせいではないのに。でも、親のせいでもないんですけどね。
1人の女子生徒の独りよがりな行動によって1つの家庭がめちゃくちゃになってしまった。
人生はどうなるか、本当に分からないですね。そして麻衣亜は悪い方悪い方に進んでいってしまった気がします。自分の意見を言うことが出来ずにされるがまま…
麻衣亜の行動は少しイライラするところもありました。
そして菜摘と交互に現れる山形という警官。麻衣亜とどういう関係なのだろうと思いましたが、最後はなるほどと納得。にしても弱みを握っているからと言って麻衣亜を甘く見過ぎじゃないですかね、この人は。
麻衣亜の行動は褒めたものではないけど、幼い頃からずっと我慢して傷ついて辛くて苦しいことを経験して、その結果自分で自分の道を切り開いた。いや、ちょっと違うけど。麻衣亜に関わってきた男どもざまーみろ!ってちょっと思いましたよね^^;
最初から麻衣亜は死を選んでいるんだと思っていたけど、違ったんですね。
やったことは良くないことだけど、それでも割と好きなラストだったりしました。

<朝日新聞出版 2018.2>H30.7.4読了