
著者:柚木 麻子
祥伝社(2018-04-11)
販売元:Amazon.co.jp
「私にはもう時間がないの」
女を焦らせる見えない時計を壊してしまえたらいいのに。
喫茶店で働く佐知子には、アイドルグループ「デートクレンジング」のマネージャーをする実花という親友がいる。
実花は自身もかつてアイドルを目指していた根っからのアイドルオタク。
何度も二人でライブを観に行ったけれど、佐知子は隣で踊る実花よりも眩しく輝く女の子を見つけることは出来なかった。
ある事件がきっかけで十年間、人生を捧げてきたグループが解散に追い込まれ、実花は突然何かに追い立てられるように“婚活"を始める。
初めて親友が曝け出した脆さを前に、佐知子は大切なことを告げられずにいて……。
自分らしく生きたいと願うあなたに最高のエールを贈る書下ろし長編小説。
あらすじから色々抉られる感満載の作品でしたが^^;楽しく読めました。
アラサー、アラフォー、婚活、妊活…もう良いよ。放っておいてよ…。と個人的には思うんですけど^^;
私も30歳を過ぎて、同じ年の友人と話す内容はやっぱりこういう話題も出てきます。
それでも感じたのはどんな境遇であれ悩みはあるし、隣の芝生は青いって思うこともある。独身、既婚、子どもがいる、いない、働いている、この歳になると本当に色んな境遇の人がいます。でもそれぞれ楽しんでいたり悩んでいたりするんだなぁと話をしていると感じます。専業主婦の人は社会と関わりたいと言っているし、既婚で働いている人はもう止めたいって言ってる人もいるし^^;そんなもんですよね。
私は今まで結婚したいとか子供が欲しいとか思ったことがないし、焦ったこともないのだけど、35歳になったら実花の様に焦って何か行動しようと思ったりするようになるのかなぁ。もうすぐだけど。なさそー。
それでも実花のアイドル感は凄く分かります。はまってしまう理由も分かる。実花が言った「時間を止めることの出来る人は、アイドルだと思ってる」という言葉が分かり過ぎて何だか色々思い出しちゃってその一文だけで泣きそうになりました^^;
現実が辛くても哀しくても、その一瞬だけ何もかも忘れて幸せに浸らせてくれる。そういうことが、この約20年何度もあったなぁ…って。興味のない人にどんなにイタイ人と言われても構わない。アイドルのお陰で私は人生が豊かになったと思っているから。その気持ちはずっと大事にしたいなと思います。じゃないと、自分自身でこの20年を否定してしまうことになってしまうから。
佐知子の実花に対する想いは分からなくはないけど、でもやっぱり私は少し分からない。佐知子の現在が「安住の地」だと思っているわけではなくて、基本的に佐知子はヲタクじゃないから。佐知子は本当に恵まれていると思います。家族はチームだって言ってくれる旦那さんがいて、体調や精神面をちゃんと理解してくれる義母がいて友達がいて。私も少し嫉妬しちゃうかなぁ。どうかなぁ。
境遇が変わったら友人関係が変わってしまうのは仕方がないことだと思います。どんなに仲が良くても、時間が経ったら変わってしまうことがある。それを受け止めることも必要なのかな。それでも関係性の変わらない佐知子と実花の関係は羨ましさも感じました。
読んで良かったです。
<祥伝社 2018.4>4H30.5.16読了
登場人物みんなそれぞれに痛いなぁと辟易して
読んでいたように思います。
柚木さんのこの手の女性同士の痛い友情物語は、
さすがにもういいかなぁと思いました。
共感できる部分もない訳ではないのですが、
佐知子に関しては、正直、親友にそこまで崇拝
出来るところも理解の範疇を超えてしましたし、
せっかく女性としての幸せを追い求め始めた
親友を応援してあげられない心の狭さにも
うんざりしました。結局、平凡だろうが結婚して
幸せな暮らしをしている佐知子は、実花を
見下しているように思えました。女同士の友情
って難しいですよね。