川のむこうの図書館川のむこうの図書館
著者:池田 ゆみる
さえら書房(2018-02-04)
販売元:Amazon.co.jp

「図書館は好きじゃないんだ」竜司は図書館にいやな思い出がある。卒業前の自由研究で、美紀、悠人といっしょに班になった竜司。土器のかけらをきっかけに、三人は近所の遺跡を調べることに。“どうしたって、あそこへは行かなければならない”図書館へ通いながら、調べ学習を進めるうちに、いつしか、竜司の中で何かが変わっていく…。「坂の上の図書館」に続く、もうひとつの物語。

続けて「山の上の図書館」の続編を読みました。
前作に登場した竜司君のその後のお話です。春菜と同じあけぼの住宅に暮らし、ある日突然転校していった男の子。春菜と同じように母子家庭で母親の気まぐれにより引っ越しを繰り返し、どことなく何かを諦めているようなそんな男の子でした。前作でも出てきた出来事により図書館が苦手な竜司。それでも調べ学習のために図書館へ行かざるを得なくなります。それでもそこで、美紀や悠人と共に調べていくことでいろんな発見をし、興味を持ち始めていきます。
公園の管理人のおじいさんもいい味を出していましたね。さりげなく竜司の家庭についてを聴き、気にかけて手助けもする。元教師らしい優しさを感じました。
竜司自身も良い子なんですよね。図書館の本を破いてしまった時、どうしていいかわからなくて黙っていたけど、同じものを買って返せばいいと分かったら、自分が持っている少しずつ貯めていたお金も出し惜しみすることなく使ってすぐに図書館に謝りに行く。そして怒られることもちゃんと覚悟して。それに、破いてしまった時も責任転嫁もしなかった。その気持ちがある子だからきっと大丈夫と勝手に思ってしまっていました。
気の強い美紀と優しく後押しする悠人。この2人で調べ学習ができたことは、竜司にとって本当に良かったことだったと思いました。
矢田君に関してはある意味わかりやすすぎて微笑ましかったですよね。なんだかんだで美紀が言ったことは逆らわなかったし。嫌い嫌いも好きのうちって言いますからねー。多分実らないと思いますけど←
おじいさんの言った「図書館は宝の山」という言葉がとても好きです。その宝の山が私も大好き。いつかこのお話で竜司に優しく接した司書の人たちのように働けたら良いなと思いました。

<さえら書房 2018.2>H30.4.8読了