額を紡ぐひと額を紡ぐひと
著者:谷 瑞恵
新潮社(2018-02-22)
販売元:Amazon.co.jp

事故で婚約者を喪った額装師・奥野夏樹。彼女の元には一見額装不可能で、いわくありげな依頼ばかりやってくる。ヤドリギの枝、小鳥の声、毛糸玉にカレーポット―。表具額縁店の次男坊・久遠純は夏樹の作品の持つ独特な雰囲気に惹かれ、やがて彼女自身にも興味を持つのだが…。『思い出のとき修理します』著者が紡ぐ、心温まる手仕事小説。

今回の主人公の職業は額装師。また変わった職業ですね。魅力的です。
その額装師である奥野夏樹は婚約者を亡くした過去があり、その死に関係がある人物に近づきます。そして久遠純はそんな夏樹に魅力を感じ、近づきます。純もまた過去に臨死体験をし、そのことでいまだに心の後遺症が残っている。
夏樹、純、池畠、それぞれの過去に焦点を当て、心の根底に迫りつつも額装を求めるお客様の本心にも迫っていきます。
亡くなった婚約者の弘海が額装師だったからと同じ職業になった夏樹。でも、不思議な額装の依頼にも真摯に受け止め、お客さんにふさわしい額装を作っていきます。
その職人魂は年数は関係ないのかなと思いました。
それぞれの想いもだんだん明らかになっていって、読む手が止まりませんでした。
面白かったです。3人が今後どのような関係性になっていくのか、それも読んでみたい気がします。

<新潮社 2018.2>H30.4.4読了