
著者:中島 京子
新潮社(2018-02-22)
販売元:Amazon.co.jp
忘れかけていた子どもの頃の思い出を、あざやかに甦らせる傑作短篇集。小学校の帰りに毎日行っていた赤い樽のある喫茶店。わたしはそこでお客の老小説家から「タタン」と名付けられた。「それはほんとう? それとも噓?」常連客の大人たちとの、おかしくてあたたかな会話によってタタンが学んだのは……。心にじんわりと染みる読み心地。甘酸っぱくほろ苦いお菓子のように幸せの詰まった物語。
タイトルを見てまずちょっと笑いましたよね。ギャグか!?ネタか!?みたいな^m^
読んでみたら本当に樽とタタンが出てきたのでそう言うことかと納得しました。
まあ、女の子にタタンと名付けた老小説家もタルトタタンとかけてはいましたけど。
樽の中から少女が見つけた常連客のあれこれ。
マスターも愛想が悪いのかと思いましたけど、女の子の対応はとても優しかったですね。というか、そもそも見ず知らずの女の子を営業中とはいえ預けて受け入れてくれるなんて相当懐が大きくないと出来ないですよね。
女の子がそこまでお客さんと距離が近くないのも良かったのかな。俯瞰して読める感じが良かったです。
女の子とおばあちゃんがこの喫茶店を利用した時のお話が1番好きでした。おばあちゃんは「ぱっと消えてぴっと入る」胸の中に入ってくるというこの表現がとても好きでした。
<新潮社 2018.2>H30.3.10読了