人形たちの白昼夢人形たちの白昼夢
著者:千早 茜
PHP研究所(2017-08-19)
販売元:Amazon.co.jp

嘘をつけない男と嘘しか口にしない女が出会った時、物語は動き出す。
『魚神』『男ともだち』の著者が贈る、リアルと幻想が溶けあうような12のショートストーリー。
コットンパール/プッタネスカ/スヴニール/リューズ/ビースト/モノクローム/アイズ/ワンフォーミー・ワンフォーユー/マンダリン/ロゼット/モンデンキント/ブラックドレス
◎収録作品
「スヴニール」声が出なくなってしまった私は、見知らぬ相手からの招待状に誘われ、レストランを訪れる。給仕人にうながされ料理を口にすると、さまざまな情景が浮かんできて――。
「リューズ」荒廃した世界。空爆から身を潜め、不思議な「声」に導かれて目を開けると、自動機械人形(オート・ドール)が現れた。豪奢で美しい、暗殺用の人形に連れられて向かった先には――。
「モンデンキント」児童文学作家となった私が物語を書き始めた本当の理由。それは中学生のときに出会った、ピアノの上手な男の子との約束にあった。

千早さんらしい独特の世界観。良いですねードキドキします^^
特に好きだったのは「ロゼット」かな。偏屈な時計職人と拾われた孤児の物語。始めは人を拒絶している職人も孤児との生活に慣れていって、2人は同じような想いを心の奥に抱えていていわば同志のような気がしました。切なくて哀しい物語でした。
あとは「モノクローム」罪人たちが娯楽をすべて取り上げられそれを無意味と思って生活している中で特異な男が現れる。その男のお陰で罪人たちは生きるということを考えていく。ちょっと「カッコーの巣の上で」を思い出しました。
「ワンフォーミー・ワンフォーユー」も好き。「ひと匙は私に、ひと匙はあなたに」あなたと私。人とポットの物語。
そして「モンデンキント」この物語も切なかったな。子供って残酷。あのまま二人の世界を築いていくことが出来たら、もっと2人は世界を広げて行けたのではないか…それでもこの出来事がなければ私は児童文学作家にはなれなかったのではないか…。色々考えてしまいました。

<PHP研究所 2017.8>H29.9.14読了