世界一ありふれた答え世界一ありふれた答え
著者:谷川 直子
河出書房新社(2016-10-14)
販売元:Amazon.co.jp

離婚して未来を見失った女。ピアノを弾く時だけ、指が動かない病いのピアニスト。人生のどん底で出会った二人の再生を描く今年最高の感動作!

お友達にオススメされて読んでみました。初読み作家さんです。
40歳で夫に離婚を迫られうつ病となったまゆこと、ジストニアになり指が動かなくなったピアニストのトキオの物語。
最初は2人ともうつ病なのでひたすら暗かったです^^;
病院で出会ったトキオとまゆこ。トキオがまゆこを呼び、2人で会うようになります。
トキオにとってまゆこは恋愛感情で呼んだわけではなく、自分と同じようにもしくは自分よりも悪い状態である人を傍に置いて安心したかったから。読んでいてそれは感じたので嫌な気分にはなりましたけど、でも気持ちが分かる部分もありました。自分が悪い状態の時、自分の方がまだましだと思える存在があると失礼ながらほっとしたりするときもあるから。
それでもまゆこがカウンセリングに通い、少しずつ症状が緩和されていくことで2人の関係の均衡が崩れていきます。前向きになっていくまゆこを見ていると置いてけぼりにされたような気分になるんですかね。
トキオは支配的で女の敵のような気もするんですけどでも憎めない。病気のこともあるけど死にたいと言いつつも生きていて生きることにもがいている姿はまゆこ同様なんとかしてあげたいという気持ちになりました。ピアノだけが全てだった人生をそれだけじゃない人生にしたっていいじゃないかと思い、まゆこを応援していました。
途中登場したセリナとカノンがまた良かったですね。2人はしっかりした前向きな女性でした。2人に出会ったことがまゆこにとって大きな転機となったんですよね。だからトキオにもちゃんと想いを伝えることが出来たんだと思います。もともと、人の役に立ちたいと思って生きてきた人なんですもんね。変わっていくまゆこが素敵でした。
最後も良かったです。読んでよかった。ドビュッシーのアラベスクを聴きたくなりました。
このトキオという人物は、著者さんがオカダをモデルにして書かれたそうですね。オススメしたお友達に「私とオカダの物語だから(笑)」と紹介されたので^m^もう脳内がその2人で構成されたので困りました←
映像化されたら暗いけど優しくて最後は明るい素敵な物語になりそうだけど、でも、もう大作ばかりやって現代人をなかなかやらなくなった←オカダは演じることが出来ないかもなぁ…と、ちょっと寂しくなったりもしました^^;

<河出書房新社 2016.10>H29.1.23読了