本バスめぐりん。本バスめぐりん。
著者:大崎 梢
東京創元社(2016-11-30)
販売元:Amazon.co.jp

都会を走る移動図書館「本バスめぐりん」。乗り込むのは六十代後半の新人運転手・テルさんと、図書館司書・ウメちゃんの、年の差四十のでこぼこコンビだ。団地、公園、ビジネス街など巡回先には、利用者とふしぎな謎がめぐりんの到着を待ちかまえていて……。テルさんのとまどいとウメちゃんの元気、そしてたくさんの本を詰め込んで、本バスめぐりんは今日も走る。本屋、出版社などさまざまな「本の現場」を描く著者の次なる現場は、移動図書館! 本を愛するすべての人に贈る、ハートフル・ミステリ。

本にまつわる様々な職業を小説で書かれている大崎さん。今回のテーマは移動図書館です。移動図書館は多分見たことがないですし利用したこともないです。
でも、司書という仕事の中でも結構濃く利用者さんと接する仕事だなぁと思いました。テルさんはサラリーマン時代の呪縛から逃れられない堅物そうな人だなと最初は思っていたんですけど、ちゃんと順応していきましたよね。移動図書館だからこそ気づく謎。どれも温かくて優しい謎でしたねぇ。こちらの気持ちも温かくなりました。
「テルさん、ウメちゃん」大事なものを挟んだまま返却してしまったという利用者、そのあとに借りた利用者は何か知っているようだったが…。
「気立てがよくて賢くて」ステーション廃止の有力候補に挙がる住宅街。利用者を増やそうと常連たちが立ち上がるが。
「ランチタイム・フェイバリット」めぐりんが唯一行くオフィス街。そこでウメちゃんが気になる人がいるのだがその男性はなぜかいつも何かを気にしているようで…。
「道を照らす花」最近越してきた評判の美少女がめぐりんを利用するようになったある日突然泣き出してしまう。
「降っても晴れても」市民祭りへのめぐりんの参加に盛り上がっているところにテルさん最大のピンチが。

<東京創元社 2016.11>H29.1.7読了