いまさら翼といわれてもいまさら翼といわれても
著者:米澤 穂信
KADOKAWA(2016-11-30)
販売元:Amazon.co.jp

神山市が主催する合唱祭の本番前、ソロパートを任されている千反田えるが行方不明になってしまった。夏休み前のえるの様子、伊原摩耶花と福部里志の調査と証言、課題曲、ある人物がついた嘘―折木奉太郎が導き出し、ひとりで向かったえるの居場所は。そして、彼女の真意とは?(表題作)。奉太郎、える、里志、摩耶花―“古典部”4人の過去と未来が明らかになる、瑞々しくもビターな全6篇!

「箱の中の欠落」生徒会長選挙の開票結果の謎。里志の人の好さは相変わらずですね。高校のクラスの数ってあまり変わらなそうだけどなと思いつつ納得。
「鏡には映らない」中学時代の友人に会い、かつて奉太郎のした行動について推理し始める摩耶花。摩耶花の言う通り奉太郎が考えなしにする行動ではないと思いましたけど真実に感動しました。なんて良い奴なんだ!確かにヒーローだわ。
「連峰は晴れているか」珍しく奉太郎が自分で気になって調べ始めた出来事。中学時代の先生がヘリコプターの音を聞いて窓辺に立ち「飛行機が好き」といった理由。切なかったなぁ。
「わたしたちの伝説の一冊」摩耶花が所属している漫画研究会内での派閥。ホント、バカバカしいですよねー。皆マンガが好きという気持ちは一緒だと思うのに。でも最後に摩耶花が選んだことは間違っていないと思います。
「長い休日」奉太郎のモットーが生まれた過去について語られる作品。省エネ男は何故生まれたのか。いやー…可哀想すぎますね…。こういう調子良い先生っていますよね。先生というか人って。奉太郎は気付いて良かったんだと思います。でもえるの言う通り中身は変わっていないと思うので。奉太郎の最強お姉ちゃんの言っていたことは正しかったんだなぁとニヤニヤして読み終わりました。
「いまさら翼といわれても」若干忘れてますけど「遠回りする雛」と繋がっているような気がしました。えるの気持ち、わからないけど想像することはできます。えるがちゃんと自分の道を自分で決めることが出来ます様に。
そう言えば余談ですけど、この物語の設定は2001年でいいんですかね。
このシリーズ、最初設定が同い年だなぁと思ってたんですよ。
奉太郎とえるは携帯電話を持っていないままだし、小説の中にスマホという言葉は出てこなかったんですよね。まあ…余談ですよ…。

<角川書店 2016.11>H28.12.27読了