コンビニ人間コンビニ人間
著者:村田 沙耶香
文藝春秋(2016-07-27)
販売元:Amazon.co.jp

36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は恥ずかしいと突きつけられるが…。「普通」とは何か?現代の実存を軽やかに問う衝撃作。第155回芥川賞受賞。

今更ながらようやく読みました。何となく話の内容は把握してましたが、想像していたのとは違いました。実は村田さんは初読みでした。やっぱり斜め上を行く感じですねー。村田さんは前々から気になっていたのですがいつも内容が奇抜すぎて読むのをついためらってしまって。
今回のストーリーは割と読めるかなぁと思って読みましたがやはり流石クレイジー沙耶香ですね^m^
確かに恵子は社会不適合者かもしれない。思考が他の人とは違うかもしれない。でもそれがなんだというんだろう。コンビニで働いている恵子はちゃんと社会人をしているし誰よりもよく働いてる。恋人がいないとか結婚してないとか正社員じゃないとか、だからなんだと言いたくなる。この作品に出てくる男の人がみんな憎かった。白羽も、同級生の旦那も、ころっと態度が変わった店長も。なんて女の生きにくい世の中なんだ。
白羽の義妹も言っていることはその人にとっては正論かもしれない。でもそれが正しいかどうかなんて、一生を終える時じゃないと分からない。できれば私は、その人のような考え方で生きたくないと思いました。世の中にはいろんな人がいて、いろんな考えを持っている人がいて、自分の考えとは違う人だってもちろんいて、でもそれはお互いに間違っているわけじゃないって思いたい。日本は共感社会だけど、でもそれだけになりたくないです。
だんだん恵子が追い詰められていって、無理矢理変わろうとしていた(されていた)けど、最後の恵子の言葉に救われた気がします。
私だって社会のために生きているわけではないし、世間体のために生きてるわけじゃない。周りがなんと言おうと、私が行きたいと思う道を生きたい。そう思わせてくれました。恵子はある意味幸せなのだと思います。コンビニ店員という確固たる自分を見つけたんですから。私も人間である前にこういう奴なんだって思うものを見つけたいです。読んでいて辛いところもたくさんあったけど、読んでよかったです。

<文芸春秋 2016.7>H28.12.22読了