まことの華姫まことの華姫
著者:畠中 恵
KADOKAWA(2016-09-28)
販売元:Amazon.co.jp

人形遣い月草と姫様人形お華の迷コンビが江戸の事件を快刀乱麻!
江戸は両国。暮れても提灯の明かりが灯る川沿いの茶屋は、夜も大賑わい。通りの向こうの見世物小屋では、人形遣いの芸人、月草の名が最近売れてきている。なんでも、木偶の姫様人形、お華を相方に、一人二役の話芸を繰り広げるのだという。それも、話芸が目当てというより、お華に会いに来るお客が多いというのだ。何故なら。“まことの華姫”は真実を語る――
姉を殺したのは、実の父かもしれないと疑う、小屋一帯の地回り山越の娘・お夏。
六年前の大火事で幼な子を失い、諦めきれずに子ども捜しを続ける夫婦。
二年前に出奔したまま行方知れずの親友かつ義兄を探しにはるばる西国からやってきた若旦那。
そして明らかになる語り部・月草の意外な過去……
心のなかに、やむにやまれぬ思いを抱えた人々は、今日も真実を求めてお華の語りに耳を澄ます。
しかし、それは必ずしも耳に心地よいものばかりとは限らなくて……
快刀乱麻のたくみな謎解きで、江戸市井の人々の喜怒哀楽を描き出す、新たな畠中ワールド!

畠中さんの新刊を読みました。
人形遣いの月草と姫様人形のお華が出てくるくらいしかあらすじを読んでいなかったのですが^^;謎解きに関しては面白かったけど、何となく印象が薄かったかなぁ。
畠中さんの作品は登場人物が個性的でそれがとても印象深いのですが今回は月草も華姫もちょっと中途半端だったというか…すみません。
それなら山越親分の娘のお夏の方が分かりやすく突出していた気がします。
「まことの華姫」
姉のおそのが亡くなり、その死について不信感を抱いていた妹のお夏。事故か自殺かと思われていましたが、その真相は思わぬ展開へと発展していきましたね。13歳のお夏は危なっかしくてハラハラしましたけど、最後はほっとしました。
「十人いた」
もしかしたら子供が生きているかもしれないと子供を捜す夫婦。その気持ちとは裏腹にその想いを踏みにじって利用する人たちがいるというのが悲しかったですね。
「西国からの客」
行方不明になった義兄を捜しに来た男の話。華姫が言った「会えるけど会えない」の真相がなるほどと思いました。にしてもそれぞれ色んな悩みや想いを抱えていましたけど、最終的には「ごちそうさまでした」っていう感じでしたねぇ。最後がとても可愛かったです。
「夢買い」
華姫の噂が変に広がってしまい、月草と華姫は窮地に立たされます。それでも月草が機転を利かせて何とか難を逃れて良かったです。
「昔から来た死」
かつて月草の人形師という夢を絶たせた4年前の火事について知っている男が現れる。その時に負った怪我のせいで月草は夢を絶たれ、許嫁とも別れることになった。その許嫁が今の夫殺しで疑われているという。
月草因縁の出来事の真相が分かって良かったですが、なんとも後味が悪いというかやりきれないというか…。
それでもお夏にとっても月草が国へ帰らず、救ってくれた両国へ留まることに決めたことは良かったのかな。

<角川書店 2016.9>H28.11.27読了