テロテロ
著者:フェルディナント・フォン・シーラッハ
東京創元社(2016-07-11)
販売元:Amazon.co.jp

2013年7月26日、ドイツ上空で旅客機がハイジャックされた。テロリストがサッカースタジアムに旅客機を墜落させ、7万人の観客を殺害しようと目論んだのだ。しかし緊急発進した空軍少佐が独断で旅客機を撃墜する。乗客164人を殺して7万人を救った彼は英雄か?犯罪者か?結論は一般人が審議に参加する参審裁判所に委ねられた。検察官の論告、弁護士の最終弁論ののちに、有罪と無罪、ふたとおりの判決が用意された衝撃の法廷劇。どちらの判決を下すかは、読んだ「あなた」の決断次第。

読んでいたのに記事をアップしていませんでした。
いつ読んだか忘れましたが確か10月下旬です^^;
著者さんは弁護士さんなので、いつもある事件の物語を書いています。今回もそうでした。
今回は戯曲形式になっていて、法廷劇がずっと続いていきます。
そして最後は有罪と無罪とどちらのパターンも描かれていて、どちらの判決が正しいのか、それは読者の判断で決まるような形になっています。
著者さんはいつも読者に投げかけます。「罪とは何か?」
去年、この著者さんが原作の舞台を観に行きました。「TABU」という舞台です(原作は「禁忌」)この舞台もほぼ法廷劇です。最後に被告人として法廷に立っていた青年は弁護士に聞きます。「罪とは何ですか?」と。きっと観客にも問いかけていたんだろうなぁ…
私は分からないままです。この作品も、被告人は有罪なのか無罪なのか、私は決められませんでした。でもやっぱり犠牲者は出してはいけない。何か方法があったのではないかと思わずにはいられません。
金田一少年の事件簿のとある事件で、一人だけを犠牲にすればほかのみんなは助かるというシーンで男性が一人の少女を犠牲にしたというくだりがありまして(それが原因で連続殺人が起きるのですがそれは以下略)美雪が「もしも同じ状況になったら一ちゃんはどうする?」と聞くと一は「俺は考えるだろうな。みんなが助かる方法をさ!」と答えます。その考えが、この被告人には足りなくて、ただ人数の問題だけで判断したんだろうなぁ…なんてことも思ったりしました。
何だか本の感想じゃなくなってきましたが^^;
答えが一つではない問題は難しいです。でも色々考えることが出来るというのは大事だなと思いました。

<東京創元社 2016.7>H28.10読了