アンバランスアンバランス
著者:加藤 千恵
文藝春秋(2016-03-19)
販売元:Amazon.co.jp

日奈子に突然つきつけられた夫の不倫写真。しかし、夫は性的不能のはずだった。夫の衝撃的な告白で崩れていく幸せな生活。そして、日奈子が気付いた自分の本当の気持ちとは…やるせない心情を繊細に、生々しく描き出す長編小説。

本当に生々しい話だった・・・。でも読む手は止まらなくて、あっという間に読んでしまいました。
この本を読んで再確認したんですけど、日本人って基本的に自分の思っていることをちゃんと素直に伝えない人が多いですよね。私も含め。更に大事なことになればなるほど話さないですよね。言わないのが美学的なところがありますよね。
それは夫婦でも親子でも。自分もそうだったからそれがダメだと言うわけではないけど、でもやっぱり言わないと伝わらないんだということを再認識しました。分かってくれなくても、相手を困らせたり怒らせたりするかもしれないけど、それでも自分の気持ちを伝えなければいけない時は伝えないとダメなんだと感じました。言わなくても分かってくれるなんてことはないんだもの。相手は自分じゃないんだから。
夫が隠していた秘密。それを知って思い悩む日奈子。
いつか…いつかきっとと思い続けて叶わなかった10年。10年なんて長すぎます。子供が欲しいなんて、本当に早く言わないと。言い方が悪いけどリミットがあるんだから。
だからと言って日奈子の親のように子供はまだなのか、病院に行くことも考えたらどうだとあからさまに言うのもどうかなーと思うけど。結婚して10年経ってる娘に言うのはどうなのかなぁ。
結婚していなかったら結婚はまだかと言われ、結婚をすれば子供はまだかと言われ、一人産んだら二人目は?と言われ。二人産んだくらいからですかね、何も言われなくなるのは。あーホントめんどくさいっすねぇ。生きてるって←
私は正直結婚願望もないし子供も欲しいとも思ったことがないから、日奈子の気持ちが分かるなんて言う権利はないんですけど、でも分かる部分もあって。そりゃ結婚したら子供が欲しいと思うよね。セックスしたいと思うよね。子供がいる友人を見て、自分の方が先に結婚していたのになんて思っちゃうのも分かるし、自分よりもかなりの年上で見た目が悪い人と関係を持っていたなんてわかったら悔しいのも凄く凄く分かる。
最後の最後はよく言ったと思いましたよね。
もっと早くに気づいて早く言っていればよかったのかもしれないけど、でも遅すぎたということはないと思いました。
もうバランスは崩れてしまったんだから、とことん崩してまた積み上げていけばいいんじゃないかなと前向きに捉えて読み終えました。
でもこの本を読んで、私はますます結婚したくなくなったかも^^;まあ、もともと結婚願望はないんだけど。

<文芸春秋 2016.3>H28.7.25読了