創薬探偵から祝福を (新潮文庫nex)創薬探偵から祝福を (新潮文庫nex)
著者:喜多 喜久
新潮社(2015-11-28)
販売元:Amazon.co.jp

病の原因を突き止め、命をつなぐ――創薬探偵。創薬チーム、それは原因不明の難病奇病に苦しむ者の最後の望み。主治医からの依頼を受け、限られた時間内に病のメカニズムを解明、対応する新薬を創造して患者を助けるのが彼らの役割だ。調査担当の薬師寺千佳と化学合成の鬼才・遠藤宗史。ふたりは、数々の難題をクリアして得た成果で、ある女性を救おうとしているのだが――。化学×人間ドラマ。ミステリの新たな扉が開かれる。

テーマも内容も難しかったですが、原因不明の難病と闘う患者を救おうとする遠藤と千佳の熱意が感じられました。でも二人の本当の目的は別にあって…。その部分は最後に大きな展開を迎えて驚きました。2人の身にも色々なことが起きるのだけどそのすべてが仕事にも人生にも生きているような気がして最後はじんわりして読み終えました。
著者さんはずっと薬学関係をテーマに小説を書かれていていつか「創薬」がテーマの小説にチャレンジするんだろうと思っていたとあとがきに書かれていました。
確かに仕事は何をしていますかと聞いて「創薬研究です」と言われても全然ピンと来ないです。それに同じようにフラスコと白衣と注射器とかしか思い浮かばないような気がします。
この小説自体はフィクションですが実際にこのようなお仕事をされているんですね。ご本人もおっしゃっていますがかなりのマニアックな内容だったと思います^^;
それでも面白かったですし、遠藤や千佳の今後もぜひ読みたい。
諸々気になるところもありますし、創薬探偵というにはまだミステリ要素は少ないと思うので是非続編を出してほしいと思います。

<新潮社 2015.12>H28.5.13読了