メアリー・スーを殺して 幻夢コレクションメアリー・スーを殺して 幻夢コレクション
著者:乙一
朝日新聞出版(2016-02-05)
販売元:Amazon.co.jp

「もうわすれたの? きみが私を殺したんじゃないか」
(「メアリー・スーを殺して」より)
合わせて全七編の夢幻の世界を、安達寛高氏が全作解説。
書下ろしを含む、すべて単行本未収録作品。
夢の異空間へと誘う、異色アンソロジー。

アンソロジーと言っても全員同じ人ですよねっていうツッコミをしてしまいましたが^m^読みました。どの作品も一癖あって^^面白かったです。
「愛すべき猿の日記」乙一
1人の人間の成長物語ですよね。最初はドラックに溺れた何も知らない青年だったのにお父さんが使っていたインクの瓶が届いてから変わりましたよね。その成長していく姿が良かったです。
「山羊座の友人」乙一
乙一さんの書くいじめ問題は(まあ乙一さんに限らないけど)読んでいて怖くて辛いです。今回も加害者に対して一方的に悪いとは言えないなぁ。にしても何かあるんだろうと思ったけど犯人については意外でした。風でベランダにやってくる未来の新聞記事がこうつながっていたのかと思い切なくなりました。
そして主人公のお姉さんが別シリーズで登場しているらしいですが私はどの作品かわかりませんでした^^;
「宗像くんと万年筆事件」中田永一
この作品は既読でした。主人公がいじめられていくシーンはもうまんま乙一さんというかなんというか…。宗像くんが事件を解決していくシーンがとても好きです。そして最後に震えている宗像くんにきゅんとしました。
「メアリー・スーを殺して」中田永一
タイトルが良いですよね。何だろう?って引き込まれます。主人公の女性が容姿に自信がなく友達もいなくて小説に理想を掲げて逃げている姿は切ないけど貪欲に生きているような気がしました。そこからの主人公の変わりようが凄い。そしてラスト、自分の本心とまた闘おうとしているところで物語が終わるのが良かったです。
「トランシーバー」山白朝子
東日本大震災がテーマになっている作品。妻と子供を亡くした主人公がトランシーバーに縋る姿がとても切なかったです。でも時が流れて少しずつ前を向いていく姿が良かった。きっと奥さんも息子さんも見守ってくれているはずです。
「ある印刷物の行方」山白朝子
山白さんらしいホラーな雰囲気が漂ってました。あー…気持ち悪かった…。
「エヴァ・マリー・クロス」越前魔太郎
この名義は知りませんでした。この話も怖かったです。
「人体楽器」の描写がもう気持ち悪くて悪くて…。

<朝日新聞出版 2016.2>H28.3.27読了